恋すてふ♪
□九.恋と破談
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「た、ただの作り話よ! べ、別に本当の気持ちではなく、創作の詩があっても良いと思ったの!」
苦し紛れに加子は言い訳をした。
しかし、詩はあまりにも真実味を帯びているものだった。そのことで父親は加子に対し「そんなわけないだろう」と叱った。
「というか、何で父ちゃんが詩集持ってんのよ!?」
詩や小説を読ませるとその詩人の言いたいことを理解できる反面、詩や小説には興味がない父親。
そんな父親がなぜ、詩人を知ったのか。加子は、それを問い詰めた。
「持ってたら悪いんか!」
「そうじゃない、けど……」
「本屋の主人が教えてくれたんだ! お前の筆名が詩集に載っとるって、わざわざ持ってきてくれたんじゃけぇの」
しまった、と加子は思った。本屋の主人は、加子を支持している。同時に父親とは古くからの馴染み。
しかし、父親が娘の活動に反対していることを知らなかったのだ。
本屋の主人は、快く教えてあげたつもりなのだろうがそれが加子にとって悪かった。
だから、こうして説教を受けているわけなのだが。
「いつもは興味ないくせに、私のは読むんだ!?」
「何!? 親に口答えする気か!?」
「え、ちょ」
とうとう父親は加子に手を上げた。
叩かれる加子に、外で待機していた兄弟が飛び込んで来る。
「父ちゃん、何やっとるん!?」
「流石に、やりすぎじゃけん!」
兄と弟が、力付くで父親を姉から引きはがす。
「お前らは! 加子の味方なのか!?」
「や、そういうことを言うとるんじゃない」
兄が、冷静に答えた。しかし、弟の方は違った。彼は父親をキッと睨みつけた。