恋すてふ♪
□十.女の子
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お店の手伝いをしながら、加子は親友とたまに会っていた。
そして今日も海辺で一緒に話ながら歩く。
「ねぇ、加子。私ね……」
顔を朱色に染めて笑うのは、親友のたま子だった。
「どうしたの? 何だか楽しそうね」
「実はね、好きな人が出来た!」
「え!? 本当にっ?」
嬉しそうに笑い、飛び跳ねる様は加子にとっても嬉しい報告だった。
「どんなお人なん?」
「すっごく良い人! お見合いで知り合ったんよ」
「え? お見合い? それって……」
うん、と笑顔を見せるたま子。お見合いということは、両親公認の人。その人を好きになるということは、幸せな婚姻が出来る可能性があるということだ。
「その方もね、私を気に入って下さって妻に迎え入れても良いとおっしゃってくれた」
「それじゃあ、たま子は」
「まだ正式じゃないけど、もし正式に申し込まれたら承諾するつもり!」
幸せな雰囲気を纏うたま子に、加子までも笑顔になる。親友であり幼なじみでもある二人は、昔から本当に仲良しだった。それは近所の人も知るくらいに。
幼い頃、二人で島内を巡ったり買い物したり遊んだりした。時には喧嘩もしたけれど、やはり仲直りは早かった。
だからこそ、親友が好きな人に嫁ぐのは嬉しく思う。その反面、今まで見たいに頻繁に会えなくなるのは当然で遠い存在になる気がして寂しいと思う部分もある。
そう哀愁に浸っていると、先に歩いていたたま子はくるっと振り返る。
「加子は、好きな人おらんの?」