恋すてふ♪
□十二.再会
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「加子、帰ったんね」
「え、あ、母様」
「いやぁ、これは疲れるのぉ。……ん? 加子か」
「!? 父ちゃんっ」
加子は焦った。
父親と母親が一段落し、外に出て来たところに出くわしてしまった。それだけなら問題ないのだが、隣には原田がいるからだ。
以前、新選組が旅館から帰るとき加子は原田とこっそり待ち合わせをしていた。しかし、徹夜で作詩をしたので寝坊してしまい慌てて行ったが待ち合わせ場所におらず。
母親に聞いたところ「もう帰った」と。それを父親が知ってしまい、怪しまれたのだ。
もし、彼らの一人だと今ここで知れると特にやましいことはないが、変な勘繰りをされてしまうのではないか。そう思った。
「何を焦っとるん?」
「え、や、な、何でもないよっ」
「ん? 君は……」
父親が原田に気付く。
加子は、言葉を詰まらせた。
「確か……前にうちに泊まりに来てくださった新選組も方でしたか?」
父親は見破った。お客一人一人覚えているわけないが、団体で遠くから来たお客は覚えているのだ。
「はい、こんばんは。原田といいます」
加子とは違い、堂々と自己紹介をする原田。別にやましいことはないので、加子の態度の方が怪しいのだが――。
「何故、娘と一緒に?」
その問いに原田が口を開こうとした。しかし、それを遮るように加子が慌てて答える。
「原田様は新選組の方。京の治安を守るお方故、道に迷った私を案内してくださったのですっ」
「道に迷ったのか?」
「え、ええ、そうよ。京は、似たようなところが多くて迷子に……」
事実なのだから、隠すことはないが内緒で文通しているし、何より密かに惚れている相手。そういったことがあり、加子は誤魔化すように言葉を紡いだ。
最初は加子の様子に違和感を覚えた父親だったが、確信はないので頷き納得した。