恋すてふ♪
□十三.夜の都
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「こいつは何も見ちゃいねぇよ」
睨み合う二人。加子はどうしたのかと斉藤に視線を向ける。が、斎藤は目を閉じておりその表情からは何も窺えない。
やがて、沖田が口を開いた。
「……左之さんが言うなら本当かもね。良かったね、君。左之さんがいてくれて」
「? あの、何が……」
その問いに、斎藤が「……気にしなくて良い」と放つ。そうなるとますます気になってしまうのが加子である。
「でも……」
言いかけた時、沖田が声を荒げた。
「あーもう!!」
「!?」
「君も千鶴ちゃんと変わらないよ。ただの、不逞浪士だ。気にしなくて良いって言ってるんだから、これ以上追及しない!」
あまりのことに、加子は頷くしかなかったのだった。
『夜の都』END
2013年5月11日
―おまけ―
「原田さん……ただの不逞浪士って、私がですか?」
「は? あぁ、ちげぇよ。お前をさっき襲おうおした奴がだよ」
「? ただの不逞浪士じゃない人がいるんですか?」
「……」
「あ! 名のある辻斬りとかじゃないってことですか?」
「え、あぁ……まぁ、そうだな。名のある強い奴じゃなくて普通の不逞浪士だったからまだ良かったな、ってことだよ」
「なるほど、納得です!」
「そ、そうか(あっぶねぇー。総司が余計なこと言ったせいで……焦っちまったじゃねぇかよ)」
おまけ終わり