隠された扉
□翼をもがれた天使
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―愛しい人を手にかける―
この行為がどれほど苦しく、心臓を抉られ血を流すことより恐ろしいことなのか…
わかっているはずだ、愛しい人よ
「楽に…してください、クレイ………」
穏やかに、どこか苦笑気味に微笑むその顔は、さながら教会の清楚なシスター。
その天使の微笑みで、おまえは俺に
『私を殺して』
と言う。
愛しい人よ、おまえは俺に悪魔になれと言っている
「……」
いつでも俺を切なくさせ苦しめていたおまえは、最期の時まで俺を苦しめる。
何も言わず、何も言えず…
ただ、銀光の刄を待ち焦がれているおまえに
「………っ!!」
その白く、滑らかだったであろう胸元に、
刄を、突き立てた。
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