夢ノート

□*愛ゆえに*
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「まぁ…おいしいですわ、アッシュ」
「あれ、ホント!これってぇ、アッシュが作ったんだよね?」

預言に詠まれていなかったアクゼリュス崩落の後。
ルークとティアを除き外殻大地に戻ってきたメンバーは、アッシュと行動を共にしていた。
そして今、本来なら次の料理当番はルークだったのだがその順番をアッシュに押し付け、彼の作った料理を全員で取り囲んでいる

「なんだ、何か文句でもあるのか?」
「文句などあるわけではありませんけれど、その…私より上手なのが……」

昼食の何気ない会話。
まさか、次の一言が命取りになろうとは思いもしないアッシュだった。








*愛ゆえに*



「おまえは王女なんだ。料理など出来なくても…」
「いいえ!料理が出来ないということは、王女も民も関係ありませんわ!!」

急にガターン!と音を立てながら、ナタリアは席を立ち上がった。
アニスはうんうんと頷く

「やっぱり〜、女の子はお料理できる方が断〜然!いいよねぇ」
「しかしあなたの場合、料理できる方が良いと言うのには別の理由がありますよね。アーニス?」
「え〜、何のことですかぁ?大佐ぁ」

いつもよりいくらか声のトーンを上げ冗談めかして言うジェイドに、ぶりぶりしながらアニスは答える。
ガイは苦笑していたが、ナタリアには完璧に聞こえていなかった

「私、ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアは、ただ今より料理マスターを目指すために特訓することを宣言いたしますわ!」

胸を張り、右手を広げてその胸元に当てると、高らかに宣言した。
これが政の改革宣言だったら拍手喝采を受けそうなほど、ナタリアの顔は凛として輝いている

「たった今から、私が料理全般を担当しますわね」
「えっ!ちょっとちょっと〜!?」

綺麗な笑顔を作って言うナタリアに、アニスが慌てて声を上げた

「何ですの?」
「別に今すぐじゃなくってもいいんじゃないの?」
「ですが、この旅の間の方が効率がよろしくなくて?
バチカルに戻れば、このように私自ら料理をする機会などなくなってしまいますわ」







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