種・種運命

□失われた笑顔(アスキラ?)
1ページ/2ページ







僕は、今でもたまに、ほんのたまにだけれど、目から涙が流れる事があるんだ。


それは、今まで僕がしてきた事への償いを理由に流れてくるのか、ただ単に目にゴミが入った所為で流れてくるのか、訳は判らないけど、でも流れてくる。




そんな時、君は決まって僕の事を黙って抱きしめてくれる。




あの時、若かった僕らのように、掻き乱すようにでは
ないけど、ただ、優しく。

まるで、僕が割れたワインガラスのように。
勿論、その中身は何も入っていない。ただの空っぽ。







ねぇ、僕ってそんなに可笑しいのかな?
僕って、そんなに壊れそうな程、弱いのかな?


そんな事を訊いたって、君はどうせ






『お前は強い。強いから弱いんだ』

だなんて、訳の判らない事を言って、僕から、目の前の現実から逃げていくんだ。




ん?
別に僕は、君が逃げるのなんてどうだっていいんだ。

でもね、


どうせ逃げるんだったら、せめて僕を連れて行ってよ。

だったら、僕は黙って君のする事総てに目を瞑って、ただ頷くからさ。









僕は、君の事が好きなんだから。





ただ、それなんだから。






君が、僕の事を置いて行くって事は、その想いすら捨てなければならないの?




僕が、人を愛する事は、出来ないの?



出来たとしても、それは許されない事なの?










僕は、ただ、君の事が好きなだけなのに。

































たまに、キラが泣く。



昔みたいに、我を忘れる程泣き叫ぶ訳ではないが、ただ、静かに泣く。



そんなキラを勿論放ってはおけなくて、抱きしめる。

俺は、昔みたいに掻き抱くようにじゃなくて、優しく、まるで割れたワイングラスのように。


はは、俺も相当キているようだ。



ただ、お前を、お前が泣くのを見たくないだけなのに。






お前は、俺が好きか?



俺が、お前が好きだよ。

こんなに人を好きになったのは初めてだ。








なのに、お前は何で俺を頼らない。

何で、俺に何も言わないで、俺が居ない所で泣く?









判っているさ。



俺に、泣かれている所を見られたくないんだろう?


そんなの、俺だって判る。







でもな、せめてお前を俺の胸で泣かせたいんだよ。






無理に、泣くなとは言わない。

寧ろ、思いっ切り泣き叫べばいい。


そうしたら、お前はスッキリするだろう?














なぁ、神様って本当にいるのかな?

キラ。





いるんだったら、少し位願ってもいいだろうか?

バチなんて、当たらないだろうか?



いや、当たるかもな。



俺は、汚いから……。






なら、バチなんて当たるのは俺だけでいい。


いいんだ。






だから、お願いだ………。








キラに、あの頃の笑顔を……。




まだ、人の穢れを知らない時の、キラの眩しい程美しい笑顔を、俺にもう一度――――――――――。


















⇒アトガキ
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ