翡翠の瞳 深紅の眼

□第3章 金は、『三』欠くに溜まる
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【第3章: イタチ18歳 盛夏】


 朝から蝉の音が煩い・・・。
 空調が効いているとはいえ、食卓に並ぶ全員の顔色は、『寝付けない』の一色だ・・・。



 ダイニングは、リビングのある部屋を出て右…、通路の奥の突き当たりにある。


 扉を開けて、右側にキッチン…。
 正面壁伝いに冷蔵庫、シンク、IHレンジ・・・、またシンク、今度はガスレンジの順に並び、左は完全に『調理したもの』を置く台になっていて、向こう側はカウンターになっている。


 そして、その空間の中央に、人が二人くらい寝そべりそうな調理台があり、両側はシンクとなっている。
 ちなみに、そのシンク、普段は使わないので、収納されて一つの大きな調理台となっている。
 旅館だった頃の名残だ・・・。



 カウンターの向こう側・・・。つまり、入って左側がダイニングになっており、庭が見渡せる掃きだし窓から、光が差し込むという光景である。


 中央に、長方形の食卓テーブル、1番左の俗に言う『お誕生席』に角都、出入口に向く方に飛段・デイダラ・サソリ(一応の席)、背を向ける側にイタチと鬼鮫が並ぶ・・・。


 午前8時・・・、定時の朝食である。


「あ゙〜、ダリぃ〜、寝起きってのは、何でこんなに、ダリぃんだァ?」

 首をコキコキ鳴らしながら、飛段が椅子に片膝を立てて座る。

「飛段、お前なー、空調ガンガンに効かして、寝てんだろ?うん?」


「その状態じゃあ、身体が怠いのも、当たり前ですねぇ・・・」


「飛段・・・、それでは風邪を引くぞ、気を抜くな・・・」

 という重厚な声に、

「不死が風邪なんざ、ひくかっつーの!オレにそれを言うか、角都ゥ!」


 と、お馴染みの返事が返される。


「ああ、セツ…、この回から、貴女も一緒に食事を・・・」

 という角都の提案に、

「雇い主である旦那様と…、同席しての食事は、認められていません」

 と、『拒否』の声が掛けられる。


「それは、一般的な取り決めだ・・・」


「本当に、けっこうですから・・・」


 「一緒に食えば?」と、誰かが言った…。


「まぁ、座れ」

 角都が促す…。

「ですが、しかし…」

「座れ・・・」


 重厚な声に、威しとも凄みとも付かない色が浮き立つ。


「畏まりました・・・」

 と、従うしかないセツ・・・。

 席は、角都を左、イタチを右にした位置である…。





 
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