novels~1~

□記憶-1-
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真っ赤に燃え盛る炎の渦の中にいる私。
鼻の中は人と金属の燃える匂いでいっぱいになり、意識は朦朧とする。

両親は何処に居るんだろう。

周りには私一人だけ。
あるのは、黒焦げになったお気に入りだったテディベア。

炎の勢いは衰えを知らず、どんどん勢いを増すばかり。


バキィッ!!!!


大きな音を立てて家の柱の一本が私めがけて倒れてくる−−−−−−−−!!!!











































『ッッ!!!!』


ガバリと起き上がった克穂。
心臓がドクドクと音を立ててとても耳障りだ。
それとは対象的に、周りはもうすぐ夜が明ける独特な静けさに包まれ、春の盛りとは似つかわしくない冷んやりとした風が燃えるように熱くなった身体を心地良く撫でる。


『…またあの夢…。』


最近になって頻繁に見るようになったあの事の夢。
何年も前の事なのに…。

克穂は腰掛けていたベッドから立ち上がり先程の夢でかいた汗と、ずっと心の奥底で黒くてドロドロと渦巻いている漠然とした何かを洗い流すためにシャワーへと向かった。











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