破滅への幻想曲
□プロローグ
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小鳥の囀りが心地よく聞こえてくるこの場所はイギリスの名門貴族・ファントムハイヴ伯爵家の屋敷内である
そこにはまだ幼い少年少女が屋敷内で家族と平和に暮らしていた
『お父様お父様ぁーー!!このご本に書いてある"けっこん"って好きな人とするものなんでしょ?
だったら私、お父様とお母様とシエルとタナじぃとリジーとみーんなとけっこんする!!』
絵本を胸に抱えてニッコリと微笑むシルアの頭を父のヴィンセントは優しく撫でた
ヴィンセント「シルアは嬉しい事を言ってくれるんだね。だけどシルア、結婚は一人の男の子としかできないんだよ。」
『ほぇ?そうなの?』
舌ったらずな喋り方でコテンと首を傾げるシルアは真っ直ぐにヴィンセントの目を見つめた
ヴィンセント「ああ。シルアにもきっといつか苦しい程に恋い焦がれる男の子が現れるよ」
『くるしい?こいこがれる?』
更にうーんと唸り、眉間にシワを寄せるシルアにヴィンセントは苦笑した
ヴィンセント「シルアにはまだ早かったかな。」
そう言いながらシルアを自らの膝の上に乗せると少し離れた所で積み木をしていたシエルがトコトコと走って来た
シエル「お父様!僕もお父様のお膝の上に乗りたい!!」
ヴィンセント「わかったわかった。シルアもシエルも甘えん坊だなぁ」
こうして3人で密着したまま座っていると2人の母親でありヴィンセントの妻であるレイチェルが部屋の扉を開けて入って来た