企画モノ

□拍手
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【Net shop "Hōkū" 楽屋】

「って! エステルたんがあんな事言うから、本当に『購入する!』ボタンをクリックしちまいやがったお客様が出ちまったではありんせんか! わっちは責任取れないでありんすよ!?」
「分かっててポチったとは思うけどよォ、さっきのページは百パー嘘、全部フィクションだからな!?」
「本気で購入を考えておるのならば、考え直せ。お主らに利など何一つとしてないぞ」
「Estrellaのカモになるのだけはやめておいた方がいいZe!」
「泥沼、だ。逃げられないし……逃がさない」
「い、嫌ですよぅ。それで『向こう側』の皆さんが、エステルさんに騙されて身ぐるみ剥がされて、僕達に八つ当たりとか……ああっ! ごめんなさいごめんなさいっ!」

いかにも「楽屋」といわんばかりの室内で、スタジオで"Hōkū"の収録をしていたエステルを除く「星」の六名は、自身に向けられているカメラに向かって声を荒げた。
彼らには見えているのだろう。カメラの向こうで、何とも表現し難い笑みを浮かべた「誰か」が、興味本位で「購入する!」ボタンをポチってしまった姿が。
天狼が言うように、勿論全ては嘘、フィクションである。電話番号やそんなネットショップはおろか、商品すらもすべて架空のモノ。当然、家を爆破なんて商品を送りつけるはずもない。そんな、カモが減るような事をする訳がない。
……そんな事は、今更言われずとも理解しているのだろうが、念の為。
要するに、先の商品など「外」には実在していない事だけを認識してもらえてば良いのだ。
エイプリールフールでも何でもないのに嘘ページとはどういう事か、と叱られる事は覚悟の上だが、「星」の面々にとっては「外」の事情など関係ない。久方振りの出番。ぶっちゃけ「外」の者達が騙されようがそうでなかろうが、どちらでもいいのである。

「しかし、ショップ名の "Hōkū" とは一体何なのだ?」
「ホークー……ハワイ語で、『星』」
「あ、だから冒頭で、アロハって挨拶してたんですね」
「『星 色んな言語』でSearchして見つかった単語らしいZe!」
「そんな無駄な所に時間割いてねェで、本編の方を書けってんだよなァ」
「……天たん。そんなことしたら、またわっちらの出番がなくなるでありんす。って言うか、そもそもわっちらは『五色』以外の『クロスシリーズ』には登場しておりんせん」

元も子もない事を言いつつも、彼らはふぅ、と溜息を吐いて出されていたお茶を啜る。
異様な程に出番があるように感じられるのだが、案外と「星」が登場している作品は少ない。
その癖、キリリクや企画では必ずと言っていい程に呼ばれる。そして、その度に醜態を晒す。それが、私の収入源となる事など、全く知らずに。……あ、ちなみにこのページも、きちんと録画してますので。「外」では商品化していませんが、「こちら側」では大人気商品なんですよ、「カミサマのマヌケ面」シリーズ。

『って、ナレーションは貴様だったのか、エステル!!』

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そんな訳で、二回目の拍手、ありがとうございます。
え? 拍手でポチったのではなく、エステルさんの商品に釣られただけ?
いやいやそんな訳……ないですよね? 大丈夫ですか? 下手にエステルの策略に釣られてしまうと、その内エステルがハンディカメラとか監視カメラとか持ってきて、お客様の様子を勝手に映像ソフト化するかも…………ないな。
そんな肖像権の侵害は、流石にしない。……と思いたい。

それでは、今後も何卒よろしくお願い申し上げます。


【辰巳の懺悔】
2014.11.1- までの拍手ページその2。
その1が嘘広告で、それに対する、「星」のメンバーとナレーションによるツッコミ……に見せかけて、実はやっぱり商品化の為にエステルが一枚噛んでるって設定でした。
現実世界では「カミサマのマヌケ面」はないのですが、辰巳の作品世界では存在しているようです。
クーク辺りがポチっている事でしょう。
実際のところ、本当に存在するなら見てみたいと思ったり思ったり。
ネット通販とかよく分からないままに書いたのが敗因です。


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