氷帝

近くて遠い。
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手を伸ばせば、きっと貴方に届くような、ほんの数センチ。
でも、その数センチは私にとって、とても遠い…。

「何、窓の外見つめてんだ?アーン?」
「景吾!!」

私の病室に入ってきたのは、私の大好きな人。

「外に何があるんだ?」
「何も無いよ!!」
「そうか。てっきり、お前の好きな野郎でもいるのかと思ったぜ。」
「そんなわけ無いでしょ!!」

そんなわけ無いじゃん…。
私が好きなのは、景吾なのに。

病気の私が、景吾に近づいてしまえば
いつか傷付いてしまうのは、私ではなく景吾だから。
だから、私は伝えない。

「好き」だと伝える時…
それは、私の命が尽きてしまう時。
それまでは、只の友達。


貴方と私のほんの数センチは、貴方を傷つけない距離。
私と貴方のほんの数センチは、私が傷付かない距離。


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