四天

明日のスキは永遠に…。
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――また、明日があると思っとったんよ…。
明日には、伝えられると思っとったんよ。

ばってん…

その”明日”は、もう来んとね…。――

「おはよ、千里!!」
「あぁ、お前さんか。早かねぇ…。」

俺が、眠そうにそう答えると

「千里も早いじゃん!!」

そう、笑って返す咲が可愛くてしかたなか…。
今日も伝えられん、俺の”好き”という気持ち。
また明日、伝えたらよかね…。

「そっじゃ、俺は教室行くばい。」

俺がそっけない態度をとると、

「ちょっと!!一緒の教室だし一緒に行こうよー!!」

咲は、わざと不機嫌な顔を作ってそう言った。
そげん顔されたら、行くに行けんとね…。

「しかたなかねぇ…。一緒に行ったるばい。」

俺がそう言うと、咲は嬉しそうに笑った。

「ありがと、千里。」
「いえいえ。」

咲に会える正門も、咲と一緒に歩ける教室までの廊下も…
全部俺の宝物ばい。

そんなある日、

「千歳ッ!!」
「どげんしたと?白石。」
「咲ちゃんがッ…交通事故に遭ったんや…。」

俺は、怖くて仕方なかった。
咲がおらんようになると思ったら、恐くて仕方なかった。

「…咲は無事なんと?」
「…運ばれた病院で、さっき亡くなったって…。」

嘘だと思いたかった。
ばってん、白石はこんな嘘つかんことぐらいわかっとった…。

「白石、咲の病院どこかわかると?」
「あぁ、確か…」

白石に教えてもらった病院に行った。

「池内咲さんって、ここの病院におると?」
「はい。」

看護士さんに病室を聞き、俺は病室に向かった。

俺が入った病室には、眠っとるよな顔で死んでいる咲の姿があった。
ベッドの脇には咲の両親がいて、泣いていた。
俺は、両親に一礼をして咲のベッドの横に膝立ちをした。
咲の両親は、微笑み部屋から出て行った。

「咲…なんで、俺の気持ち聞かんと逝ったと?
俺、咲のこと好いとうよ。世界一、咲のこと愛しとる…。
ばってん、もうお前さんには届かんと…?」

俺が、咲に向かってそう言うと、窓から風が入ってきた。
その風に紛れて

『私も好きだよ。』

そう聞こえた。

俺の、聞き間違いかもしれん…
ばってん、それでも嬉しかったばい。

好いとうよ、咲。


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