フォルダ1
□雨の日。
1ページ/3ページ
今日は朝から雨が降っている。予報では明日まで降るらしい。
サーッという静かな雨音が、開けている窓から入ってくる。
最初は、雨に濡れると床が痛むと説得しようとしたのだが、ルカが残念そうな顔をしたので床は諦めた。
ルカが珍しくしょんぼりとした顔をしたので、つい、「閉めなくていい」と言ってしまったのだ。
それからルカは、窓の前に座ったまま、じっと外を眺めている。時々目をつぶっているから、雨音を聞いているのかもしれない。
まあ、どっちだっていいさ。
俺はルカの隣で、本を読んでいた。昼飯を食べてから、俺達はずっとこの状態だ。
「がくぽ」
「うん?」
服の裾を引っ張られる。
ルカを見ると、ルカは口を開いた。
「散歩に行きましょう」
「散歩?」
「はい」
俺の耳にはしっかりと雨音が聞こえている。
「雨だよ?」
「はい。雨ですが」
「……分かった。行こう」
「はい」
そう返事したルカの顔は、どこか嬉しそうに見える。
ルカはあんまり表情が変わらないから、俺の気のせいかもしれないけど。
ルカはすぐに、準備のためにリビングから出て行った。
なるほど。
ルカは雨が好きだったのか……。