フォルダ1

□晩御飯にて。
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「ルカ、晩御飯出来たよー」


俺は料理を皿に盛り付けながら、ソファに座って本を読んでいるルカに声をかけた。

「分かりました」と返事をして、ルカは盛り付けが終わった皿をテーブルに運んでいく。

全部運び終えたので、俺達は椅子に座った。


「「いただきます」」


手を合わせて食べ始めた。

食事中は無言が続く。ルカは物を食べている間は、いつも以上に無口になるから。
俺でもさすがに、自分1人だけペラペラ喋り続けるのは、心が痛むもんだ。

誤解されないために言っておくが、別に俺はこの静かな時間を嫌っていない。
おそらくはルカも同じだろう。


「?」


ふと、視線を感じた。
皿からルカへと目をやると、ルカが口を動かしながら俺を見つめている。


「何?」


口に入れていたご飯を飲み込んでから、尋ねる。
するとルカは答えるために、急いで食べていた物を噛んで飲み込んだ。

飲み込む時に目をつぶるとか、何かわいい仕草やっちゃってくれんですかルカさん。

思わず持っていた箸を強く握りしめる。
そんな俺には目もくれず、ルカは指で皿を指した。


「これ、おいしいです」


ルカが指したのは、今日初めて作ってみた料理。
テレビでやっていて、うまそうだったからつい作ってみたやつだ。


「そっか、良かった」

「また作ってください」


それだけ言いたかったらしく、ルカはまた食べ始めた。

ちょっと驚いた。
鮪やタコといった海鮮料理等の好物以外、あんまり食べ物に興味の無いルカに、また食べたいと思わせるとは。


「かしこまりました、お嬢様」


俺のふざけた口調に、ルカが食べながら睨んでくる。
肩をすくめてその視線をいなしながら、俺は明日からのメニューを考える。

……さて、次はいつ作ろうか?
なるべく早くマスターしよう。
お嬢様に喜んでもらうためにね。





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