フォルダ1

□「愛してる」
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「ルカ」

「はい」

「愛してる」

「はい」

「愛してる」

「はい」

「愛してるんだ……」

「はい」


彼はたまに、私をきつく抱き締める。
そして愛をささやく。


「愛してる」

「はい」


でも、私は分かっている。


「愛してるよ、ルカ」

「はい」


この言葉は、私を愛しているから出てくるものではない。


「愛してるんだ」

「がくぽ」

「愛してる」


「愛してる」というその言葉に、嘘は無いのでしょう。

だけれど。
中身も無い。

私は分かっているのです。


「私も愛しています」

「ルカ」

「大丈夫ですよ。がくぽ。大丈夫です」


彼は、愛されたいから、「愛してる」と言っているのだと。

だから私はこう返すのです。


「愛してます」

「愛してる」

「愛してます」

「愛してる」

「愛してます」


彼が安心するまで、何回も。
愛の言葉を繰り返す。

だって、私は彼を愛しているから。


「愛してます、がくぽ」





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