フォルダ1

□さくらマカロン。
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花の形をした、桃色のお菓子が売っていた。『さくらマカロン』というパッケージが印刷されていた。

桜か……。

ついつい、別の桜を連想してしまう。


「マカロンですか」


じっとそのお菓子を眺めていたら、魚介類を見に行っていたルカも、俺の横に立って眺めた。


「珍しいですね」

「そうか?」

「はい。貴方は、甘い物がそんなに好きじゃなかったでしょう?」

「……言ったことあったっけ?」

「はい」


俺は思わずにやけてしまった。
自分では言ったことも忘れていたのに、覚えていてくれたことが嬉しい。


「……何いきなり顔を緩めてるんですか。気持ち悪いです」

「う゛っ!はい、すみませんでした……」


嬉しい気持ちで一杯になった次の瞬間、心折られた。

いや、うん、仕方無いけどな……っ。

俺は少しめげた心を持ち直しながら、そのお菓子を2個、スーパーのカゴに入れる。


「買うんですか?」

「ああ。たまにはいいだろ?」

「そうですね」


カゴの中のマカロンを眺めながら、ルカは頷いた。

――たまにはいいだろう、甘いお菓子も。

前を歩く桃色の“桜”を見て、俺は微笑んだ。





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