フォルダ1
□さくらマカロン。
1ページ/3ページ
花の形をした、桃色のお菓子が売っていた。『さくらマカロン』というパッケージが印刷されていた。
桜か……。
ついつい、別の桜を連想してしまう。
「マカロンですか」
じっとそのお菓子を眺めていたら、魚介類を見に行っていたルカも、俺の横に立って眺めた。
「珍しいですね」
「そうか?」
「はい。貴方は、甘い物がそんなに好きじゃなかったでしょう?」
「……言ったことあったっけ?」
「はい」
俺は思わずにやけてしまった。
自分では言ったことも忘れていたのに、覚えていてくれたことが嬉しい。
「……何いきなり顔を緩めてるんですか。気持ち悪いです」
「う゛っ!はい、すみませんでした……」
嬉しい気持ちで一杯になった次の瞬間、心折られた。
いや、うん、仕方無いけどな……っ。
俺は少しめげた心を持ち直しながら、そのお菓子を2個、スーパーのカゴに入れる。
「買うんですか?」
「ああ。たまにはいいだろ?」
「そうですね」
カゴの中のマカロンを眺めながら、ルカは頷いた。
――たまにはいいだろう、甘いお菓子も。
前を歩く桃色の“桜”を見て、俺は微笑んだ。
おまけっぽいど→