フォルダ1
□だいしゅきホールド。
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ネットをサーフィンしていると、不思議な単語を見つけた。
“だいしゅきホールド”?
少し考え、首を捻る。
いやいや、“大好き”だろう?
ネット用語はすごいなー。と思いながら、なんとなく気になったので色々調べてみた。
ググりはしない。正直、俺はYahoo!派だ。
『ggrks!』的にはGoogleを使った方がいいような気もするが、慣れなんだから仕方ない。
ネットに上げられた色々なイラストを見ていく内に、“だいしゅきホールド”というものが何なのか分かってきた。どうやらネタ絵の一つであると俺は解釈した。
……ふむ。
「なあルカ。“だいしゅきホールド”ってのやってみてくれない?」
「?大好きホールド?」
やっぱりそう思うよな。
「いやいや、“だいしゅきホールド”。だいしゅき、らしいぞ」
「何ですか?それは」
「えーっと、これがその図解」
俺は、パソコンのモニターを指差して、見ていたイラストを見せる。それには、男性にがっしり掴まり浮いている女性のイラストが描かれていた。
ルカはじっとそれを見つめた。小さく頷いているところを見ると、どうやら把握したようだ。
「はあ。で、何故これをやらなくちゃいけないんですか?」
「俺がやって欲しいから」
「…………」
そう言うと、ルカは無言で見つめてきた。なんだか呆れられた目のような気がしたのは、俺の気のせいであって欲しい。
「……大丈夫?ルカ」
まさか本当にやってくれるとは思わなかった。
実践してくれたはいいものの、筋力的な理由でルカがずるずる落ちそうになっている。てかちょっと落ちてる落ちてる。
危ないいやそんな危なくはないけど、ルカの焦った顔なかなか見られないなかわいいないやそういうことでもなくて。
「こっ、これって、けっこう、筋肉、使いますね……!」
身体がぷるぷる震えてる。
うん、やっぱかわいいわ。
さっきからちょいちょい、小さく「ひゃあ!」というかわいい悲鳴が聞こえてくる。あーかわいいさすが俺のルカ。俺の。かわいい。
まあ、しかし。
「よいしょ」
ひょい。
俺は小さく頷き、今にも落ちそうなルカを抱き上げた。何回か抱え直して安定させる。
ルカは不思議そうな顔をしていたが、抵抗も暴れもせずすんなりと抱き抱えられた。落ちないように俺の首に腕を回している。
「どうしました?」
「やっぱ、ルカを抱っこするときは、普通に抱っこするよ」
「はあ……」
「うんうん」
その方が、ルカが落ちる心配しなくていいし。
「……」
ルカはちょっと照れてから、
「落とさないでくださいね」
と、首もとに顔をうずめて言った。
ああ、落とすもんか。
絶対に離さないさ。
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