short

□Amore innaturale
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※別設定パロ
 
「…恋人、かぁ??」
「うん。…センセイ女子生徒にモテてるしどうなんだろーとか思って」
「いないな」
「…へぇ、意外」
教室内では、鉛筆の音がカリカリと響き渡る。
教室内でも、真面目に勉強している人のほうがどちらかといえば多いのだが、彼…狩屋マサキはさっきからずっと喋り通しだ。
「この間もさー、何かこの塾に行ってるっつー学年首位の奴から、狩屋クンって霧野センセイに習ってるんでしょ羨ましい〜とか言われたし」
「…ほぉー、そうか。じゃ、お前は自慢げに頷いたワケだ」
「な、何言ってんだ女男っ!!」
「……………女男、」
慌てて反抗した狩屋の言葉に少なからず傷ついたらしいこちらの男。
…否、見かけだけで言えば確かに女と間違えられるであろう。
可愛らしい顔立ちにこの近距離で嫌というほどわかるまつ毛の長さ。桃色の髪は2つ耳辺りで纏められて、ますます女っぽさを醸し出している。
霧野蘭丸、只今現役大学1年。
此処、市内で一番の進学率を誇る塾内で一番の人気がある講師だ。
幼い頃から、「美少女のような美少年」として育った彼は成長して今ではすっかり「美男子」である(それでも未だ女に間違われるが)。
対して狩屋マサキ。
只今現役高校2年。
成績は中の上あたりをキープしている(本人談)らしく、整った外見に反してひねくれた性格を合わせ持ち、所謂ツンデレという種属だ。
「…じゃあ、狩屋はどうなんだよ」
「へ?何が?」
「恋人、いるだろ?この間女の子が騒いでたぞ?春期講習のときだったかな。キャー、狩屋クンだー!って」
「…物好きな奴等もいるんですね」
「ああ、俺も思った」
「アンタ、生徒が可愛くないのか」
「嘘だよ」
「嘘かよ。何なんだよ」
「狩屋は可愛いぞ?」
「…っ、…何言ってんだよ俺を何だと思ってんだ」
「生徒」
「即答かよ!」
「…?」
「…いや、スイマセン。俺が悪かったんでこの話もうやめましょうマジで」
「?ああ。じゃ、勉強しろ」
「………」
こうして先生と生徒の関係は終わらない。
 
[Amore innaturale]
 
(不自然な愛)

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