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□柑橘系*
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本日曇天。
折角の日曜日だってのに…。
室内から見える窓越しの空を見上げてため息をひとつ。
「ん?どうした?狩屋?」
すかさず俺の顔を可愛い顔で覗き込んでくる先輩。
「…アンタもどーした」
「あ?何が?」
「何が、じゃ無いでしょ。絶対心当たりありまくりですよね」
さっきから先輩が俺から離れない。
抱きついて離してくれない。
…そのクセ、俺の髪の毛をぐしゃぐしゃに掻き混ぜたり、首元に唇を触れさせたり、悪戯ばっかしてきやがる。
――俺はアンタの玩具か。
まじメーワク。
「なー、狩屋ぁ?」
「はーい先輩?」
「べろちゅー一回と普通のちゅーを十回するのだったらどっちがいいー?」
「どっちも却下で」
えー、狩屋サンのケチー。
本当、霧野先輩の女の子にしか見えない可愛い(つか、綺麗な?)顔を顰める。
寄せられた眉に妙に女らしさを感じたような気がして慌てて目を逸らした。
反対に霧野先輩は俺と目を合わせようとしてくるから、抵抗を試みて先輩の布団の中へと潜り込む。
結構勢い良く潜ったせいか、ベットのスプリングが悲鳴を上げ、すぐ無言に戻った。
「…なんだよ狩屋。お前、セック「違いますつーか黙れまじでお願いします霧野大明神様」…あ?どしたの狩屋??」
あー、わかった。お前今日の遊園地実は楽しみにしてたんだろ?
実に愉快そうに笑う先輩をキッ、と睨みつける。
ああそうですよワリィかよバーカ。
心の中で毒づくも相手に聞こえる訳も無し。
一人でそっぽ向いていると、何も反応しなくなった俺にからかうのがつまんなくなったのか、ただ単に不思議に思ったのか。
もそもそ、と俺の潜っている布団に入り込んで来た。
「…ごめんな?…雨酷かったから」
後ろから抱きついて来て、寄り添ってくる。
…猫かよ、とか思ってたらボソボソと声が聞こえて来た。
「今はもう止んでますもん」
「……今からじゃ一時間もしたら帰宅時間じゃん」
「……………………」
「次の休みに連れて行ってやるよ」
「………………本当?」
「ああ」
「…約束、してくださいよ?」
「当たり前だ」
約束に嬉しくなり思わず振り向くと、ホッとしたような表情で霧野先輩が俺を撫でてきた。
「可愛い奴だな」
「………………?」
 
 
(ところでべろちゅー一回と普通のちゅーを十回とセックスどれがいいんだよ?あ?てかむしろ全部しとくか?)
(…何言ってんスか先輩?)

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