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□恋煩いシンドローム
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部活の先輩に、びっくりするくらい綺麗な人がいる。
そして、その先輩はびっくりするくらい女顔だ。
正直、そこらへんの女子の数倍可愛い…と言っても過言では無い。…とか思ったりもしている。
でも、距離が縮むにつれて実感したが、先輩の中身はかなり男っぽい。
ギャップというものなのだろうか。
先輩はモテる。
女子は勿論、実は一昨日部活後に男子生徒から告白されているシーンと遭遇してしまったり。
最近やたらと彼への告白が増えたらしい。
毎日のように部活後一人だけ残る様子をもう何度も目にしている。
「―――…」
向いに座るはたった今思考回路に侵入を許していた霧野先輩。
部活帰り。
本日は何も予定が無いらしいこの先輩は、なにを気違えたのか、部活が終わるなり狩屋、ミスド行こうぜ。とか言ってドーナッツ屋へと俺を引っ張ってきた。
颯爽と前を歩く先輩は男の俺から見ても正直カッコいいと思える。
可愛いくせにカッコいいのだ。
そのうえ紳士的?親切??
――――とりあえず、道ですれ違う人から異常な程視線が集まっていたのは未だに居心地が悪い。
いやいや、店内でも視線集めるとか本当何?
皆さんドーナッツ食えよ。
「…なあ狩屋」
「…はい?」
俺、最近可笑しいか?
抹茶のドーナッツを頬張っていると、不意に持ち出されたその話題に吹き出してしまいそうになった。
…オレ、サイキンオカシイカ?????
…何言ってんだこの人。
「は??」
「いや、は??じゃなくて」
「…へ?」
「………オイ」
こっちは真剣なんだぞ。と言う彼は確かに真剣な表情だ。ー…だが。
「何でですか?」
「…んー」
最近やけに女子に告られるんだ。
そう言った刹那殴ろうかと思ったがそこはなんとか収める。
「……狩屋も何か俺を否定的な目で見て来るから」
「………はぁぁ?」
意味わからない。
どうして俺が出て来るんだ?
つーか、どうして俺が先輩の悩みを聞いてんだ?
…………しかも。
「鈍ッ感タラシヤローめっ!!」
「あ?……あっ、ちょ、狩屋!………帰っちゃった…」
 
[恋煩いシンドローム]
 
(否定的な目で見てる?)
(そんなの不安だからに決まっているじゃないか)
(鈍感も意外とツライな)

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