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「…今日は何の日だー?」
ジャジャーン、なんて
一人虚しく部屋のカレンダーに向かって話しかけてみる。
指差した日付は3月14日。
「ハイハーイ。ホワイトデーでーす……、…はぁ。バカらし」
ホワイトデー。
日本の製菓業界の陰謀が絡み、バレンタインデーという日があるが、ホワイトデーはそのお返しを渡す日だ。
(ホワイトデーは三倍返しとかいうけど、じゃー、どっちが業界的には売り上げいいんだろ)
なんて、どうでもいいけれど。
カレンダーの前でうーん、と唸っていると瞳子さんの声が聞こえた。
はいはい何ですかー。もうこんな時間だけど学校大丈夫なの。あ、ヤバいかも。
予め用意しておいた鞄をひっつかみ玄関へと向かう。
「ちょっと待ってマサキ。コレも持って行きなさい」
「…は?なに、これ」
「クッキーよ」
見たらわかるでしょ、とでも言いたげに言う瞳子さんにあ?と疑問符を浮かべてみせる。
「今日は何の日だ?」
…あ、そうか。
さっき自分でも自問自答したのに。
ハイハイ、女子に配る分ね。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
クッキーの入った紙袋を片手に猛ダッシュする。
どうにかして予鈴前に着席したものの朝から汗をかいて正直気持ち悪い。
「えー…っと…」
朝のHRも終わり、記憶を頼りに女子にクッキーを渡して行く。
よし、紙袋の中も空になったことだし教室に戻るか。
紙袋を焼却炉へと投げ捨て教室へと向かう。
ー…あ、あれ。
桃色の見慣れた髪型。
後ろから見ると女の子にしか見えないな。
…一年教室に来てどうしたんだろ。
「お、天馬じゃん。狩屋知らないか?」
「あー、狩屋なら女の子にホワイトデーのクッキー配りに行きましたよ」
「…は?…へぇ」
おや、おやおや。何でだか知らないが、どうやら雲行きが怪しいぞ。
というかなんで此処に居るんですか。
2年生は上の階でしょ。
とにかく、なんでだかわからないけど嫌な空気が霧野先輩を渦巻いているから回れ右をしてー…
「掴まえた」
…ー無駄だった。
「…えーと、先輩?俺になんか用でも?つーか手離せ。抱きつくな」
「んー。今日は何の日だ?」
…あ、霧野先輩。覚えていてくれたのか。
「ホワイトデーですね」
当然お返しくれるんでしょ、と期待して今日実に三度目の答えを言う。
そうそう、オレ、あげましたよね。
1カ月前。
チョコレート。
「…ーああ、そう。それでオレは貰った一年にこうして返しに来てたワケ。ー女子に」
「…………っ」
は?
今女子に、って言った?
強調して言いやがったこの先輩。
なに?なんなの。忘れたとか言うのかコラ。
可愛い可愛い(…かは知らないけど!)恋人からのチョコレートを!!!
「…恋人のチョコ忘れるとか、サイッテー」
「嘘だよバーカ」
「………………はぁ?」
以前から思っていたけれど、この女顔、誠に意味がわからない。
なに?なんなのマジで。喧嘩売ってんなら買いますけど。
「…狩屋、に決まってるじゃないか。…忘れる訳ないし」
「……………っ」
本当、意味わかんない。
意味わかんないのに、頬が熱くなる自分は
もっと意味わかんない。
「…ずっと好きだから、狩屋」
「……バーカ」
ああ、ホラもう。
カッコいい先輩なんて、ズルいんだから。
 
 
***
えーと、突発的文章で読みづらい点もあると思いまして一応解説。
ホワイトデーに蘭ちゃんからちゃんとお返しを貰えるか不安なマサキ。
蘭ちゃんはしっかりお返しを渡しに来たけど、マサキが他の女子にお返しを渡しに行ったと知り嫉妬(自分のことは棚の上←笑)
忘れた振りしてちょっぴり意地悪な蘭ちゃんでした←わかりづらい

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