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□あおはるってなぁに?
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俺の恋はいつだって桃色だ。
…あ、いや別にえっちな意味合いではなく。
特にアタックしているわけではない。
なんとなく、ああ、好きだなぁと。
いつだったかそう思ったら、みるみるうちに恋心が完成されていた。
初恋は部活の先輩だった。
 
[あおはるってなぁに?]
 
「青春の醍醐味?」
「うん。青春って言ったら何だと思う?」
腹の虫と戦いながら受けた午前中の授業もやっとのこと終わり、もくもくと昼飯のコッペパンを口に運んでいると天馬くんに話しかけられた。
ー…随分と唐突だな。
小首を傾げながらじいい、と苦笑する俺を不思議そうに見る彼は純粋だなあと思う。
青春、なんて。
今この状況が世間一般にはその状態なのかもしれないし違うかもしれない。
あまり知識がない俺に理屈的な会話が出来るわけがなかった。
「…わかんない。天馬くんは?」
「あー。やっぱ恋かな?」
「ナルホド」
まぁ、ありきたりかつ王道な返答だと思う。
俺も恋は大切だとおもっている。
「…青春、かぁー」
ああ、そうだ。
「…俺は、サッカーだと思うな」
「サッカー??」
「うん。だって…」
チーム一丸となって試合に臨むのも、勝つ為にする練習も。
…楽しくない?
にこぉ、と天馬くんを見れば「ああ!そうだね!!」と、全力で賛同してくれた。
…実はさっきの、青春は恋であるというのを思い出し、真っ先に霧野先輩を思い浮かべたのは無理のないことだとおもう。

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