book

□04
1ページ/1ページ


阿鼻地獄勤務でありながら、その地獄について全く説明をしていませんでした。申し訳ありません。
阿鼻地獄とは、ざっくり言えば、生前、最も重い罪をしでかした亡者が堕ちる所です。もう少し詳しく言えば、尊い者への悪行を働いた者の堕ちる地獄です。この「尊い者」とは、自分の親だったり、恩人だったり…。
ぶっちゃけた話、原作の五巻で初めて詳しく出てきたので、ネタバレになることを考慮して、これ以上の説明は控えたいと思います。管理人も原作から地獄の知識を得ているので、つまりは偏った知識しかなく、違和感が多々発生するかもしれません。個人で本格的に調べてちゃんと設定を組みたいのは山々なのですが、時間と一身上の都合により、それは現段階では不可能なのです。ご理解とご協力をよろしくお願いします。
そうですね、強いて言うなら、阿鼻ではツチノコが見れますよ。手の平に乗っけてまじまじと観察出来るのが、この阿鼻地獄の獄卒の特権です。丸いお腹がとってもキュート。

さて、そんなわけで私は今日も阿鼻地獄で、自主休憩を挟みながら仕事を頑張っていきたいと思いま「ギャッ!」…す。

何かが降ってきました。
何でしょう?
人の形をしていますが、亡者でも獄卒でもなさそうです。

すると今度は上から「人がゴミのようだ」と聞こえてきました。聞き覚えのある声です。

「うるせー!!このジブリマニア!!」

頭を押さえながら降ってきた人がそれに応えます。
よくあんな高いところから落ちてきたのに無事でいられましたね。
閻魔大王様と同じくらい頑丈な人です。
でも傷だらけにはかわりないです。

「…大丈夫ですか」

「え?あ、ああ。割と大丈夫だよ。君に介抱されたらもっと良くなるだろうけどね!」

全然大丈夫なようです。

「君、可愛いねー。名前は?」

「…苗字名前です」

しかもよく見たら、桃源郷の白澤様です。
こんなところで一体何をなさっているのでしょう。

「名前ちゃんか。良い名前だね!僕は白澤っていうんだ。よろしくね!」

「よろしくお願いします」

「ねえねえ、今度僕の店に遊びに来なよ!もっとお互いを知って親密になろう」

一気に距離を詰められて、耳元で囁かれました。
くすぐったいです。
それから…、何でしょうか、物凄く嫌な予感がします。
危機的本能が働いている気がします。

「機会があれば、お邪魔させて頂きます」

「ええー、そんなこと言わずにさ!今すぐにでも…って今は彼奴が居るんだった…」

渋い顔を浮かべて私からお離れになった白澤様は、「じゃあまた今度ね!」と言って、桃源郷へとお戻りになられました。妖怪の姿で。
ものの○姫の山犬を遥かに超越する、とてもカッコイイ獣の姿をしていました。

「いつかあの背中に跨がって空を飛びたいです」

私のやりたいことリストに一つ追加されました。





後日、鬼灯様から、これからは桃源郷に行く時は、如何なる用事でも、必ず鬼灯様に報告してから行くように言われました。


今日から、名前さんが桃源郷に行くときは、もれなく鬼灯様が付いてきます。
ちなみに、ヒロインの勤務先はあみだくじで決めました。
なぜ叫喚とか等括とか衆合のような原作でよく出てくる地獄にならなかったのか、今でも自分のくじ運を悔いてます。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ