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大王様が床にうつ伏せになっていらっしゃいます。
その横には鬼灯様がいらっしゃいます。
そしてシロさん、ルリオさん、柿助さんのいつもの三人組も。
この組み合わせはいつみても穏やかな気持ちになりますね。
微笑ましいというか何というか…。
このまま素通りするのもなんですし、一応声を掛けておきましょう。
「何しているんですか」
「ええ、大王に針をぶっ刺そうと。」
全く微笑ましくありませんでした。
♂♀
どうやら大王様がぎっくり腰になってしまわれたそうです。そして、鬼灯様がそれを鍼灸で治そうとしていたところだったとか。
成る程、だから針をぶっ刺すだなんて仰ったのですね。
しかし、鍼灸をするには専門の知識と資格が必要なはず。
「…白澤様を呼ばれたらどうですか」
「あんなやつを呼ぶくらいならいっそ私が…」
「ちょっと鬼灯君!?」
大王様の命が危険です。
とりあえず鬼灯様から針をボッシュートしておきましょう。
鍼灸の道具を取り上げれば、鬼灯様は顔をしかめ、大王様からは涙目でお礼を言われました。
「腰痛の治療法って何でしたっけ」
「えーと、腰痛に効くのは…」
柿助さん曰く、腰痛の治療法は、温める、針、圧をかけるの三つだそうです。
あ、圧をかけるのなら私も出来そうです。
「うんうん。鬼灯君は力が有りすぎるから、名前ちゃんにやってもらったら丁度良いかも。お願いするよ!」
「分かりました。じゃあいきますよ。…えいっ」
「グエッ!!」
蛙が潰れたような声を出して、大王様の身体が反り返りました。
うーん、少し力を入れすぎたようですね。
すみません。
ピクピクしていますが、大丈夫ですか。
…息はしているようですね。
「流石、阿鼻地獄勤務!素晴らしいです!」
「鬼灯様に褒められました、わーい」
「誰か…誰かお願いだから白澤君を呼んで…!」
この後、アニマルセラピーやら指圧やらで痛みを緩和していったのですが、やはり最終的には針での治療となりました。
しかも只のハリ治療ではなく、雷神様にも手伝って頂き、避雷針を用いた治療法です。
しかし、雷神様のお力によって放電させ、その電気と避雷針で以て全身を刺激された大王様は、遂に逃げ出してしまいました。
「遂に…というか、もっと前から逃げ出していても可笑しくないですよね。素晴らしい忍耐力です、大王様」
「うん。エン様って凄いよねえ」
「おい、誰かコイツらの視点を正常にしてやってくれ。」
逃げ回る大王様。そしてそれを追い掛け回す鬼灯様。
おやおや、追い掛けながら大王様に蹴りを入れたりしていますね。
そんなドメスティックリアル鬼ごっこを見守っていると、ピタリと二人の動きが止まりました。
どうしたのでしょう。
そういえば、大王様、さっきから動き回っていますが腰痛の方は大丈夫なのですか。
「うん、鬼灯君が治してくれたんだ!」
…一体、いつどのタイミングで治療したのでしょうか。
鬼灯様曰く、見た感じ脊椎すべり症によるぎっくり腰だったので蹴りを入れて矯正しただとかなんだとか。
始めから判っていたのに何故その方法を取らなかったのかというと、最近の大王様は少し怠けていたのでそのお仕置きだとか。
総合的に、流石は鬼灯様、と言っておきましょう。
しかも腰痛に効くツボ以外にも、雷神様のお力をお借りして、電流で血の流れをよくし、他の色んなツボにも刺激を与えたようです。
「成せる技が違いますね」
「じゃあその内色んな効果が…」
その時、大王様の言葉を遮るように、そのお腹から、不安な音が聞こえてきました。
後日、ツボ効果覿面で、大王様が下痢でお休みになられました。
「頭のてっぺん押すと下痢になるらしいぜ。」は、初めて聞いた。
「うなじを押すと禿げる」しか知らない。
てことで今回は鬼灯様が大王さんの頭のてっぺん押して(指圧かけて)下痢にさせた話。え、そんな描写はない?…あ、忘れた…。
心の中で付け足して下さい。