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□ほくろ占い その3
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ほくろ占い 番外編
「うわーーー…どうしよう…」
思わず十係から飛び出したものの行く当てがない湯田はふらふらと屋上に辿り着いた。
「まさか…主任と菊田さんが…」
本の内容がフラッシュバックし、顔が赤くなってくる。
ふーーーーー。と大きくため息をつきながら外を見渡していると、カンカンカンッと聞き慣れた音が近づいてきて、思わず身を隠した。
「菊田!なんであんなこと!!!」
現れたのは、湯田が予想した通り姫川…。と菊田。
まさか二人で現れると思っていなかった湯田は混乱と興味の入り交じった感情に襲われた。二人から少し距離があるため、菊田の声は湯田の耳には届かないが、そっと壁から二人の様子を覗き込む。
すると目に入ったのは今まで見たことのない真っ赤な顔をした姫川の横顔。
(うわ…可愛い…)
純粋に湯田はそう思った。
その後も更に頬を赤らめ、怒っているんだろうけど、それが何故かとっても可愛くて。
(なんだこれ…)
湯田の中で不可解な感情が生まれる。
そんな姫川の腕を掴むと、菊田はちらりと壁に目を向ける。同時に姫川を自分の胸へと引き寄せた。瞬間オレは壁に再度身を隠す。
(…菊田さん…オレに気づいてた…)
なんとなく、悶々としたものが心に芽生える。
そんなことを考えていると、スパーンっと爽快な音が屋上に響き渡った。
この色々入り交じった何とも言えない感情が何なのかを湯田が知ることになるのは、もう少し先のお話。