あい__

□幸か、不幸か
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緑side




最近、何かおかしい。


俺ではなく恋人のヤスが、だ。


それは様子がおかしいとかじゃなく、ヤスに起こる出来事がおかしいのだ。





毎月、2日に決まってヤスに何らかの不幸事が起こる。

初めは小さな事だったが、だんだんと事が大きくなっていた。



約半年前の転倒を境に、それは起こり始めた。


その次の月には、ダンスの最中に打撲を起こす。


ついに、先月は痣と傷だらけで
理由を聞くとヤクザに絡まれしまったらしい。



単に偶然が重なっているとは思えない。


でも、
俺にはどうすることもできなくて、そんなヤスを見守ることしかできなった。





そして

今日は8/2である。



また何か起こるのではと思ったが、特に何事もなく
いつものように二人で居酒屋に飲みに向かう。


商店街を会話を交わしながら、ヤスの歩幅に合わせて歩く。


会話の途中ヤスをちらりと見ると、笑顔を浮かべているものの、その瞳は不安に満ち溢れていた。


俺がヤスを元気づけやなな!

そう思って視線を前に向けると、
見知らぬ男がこちらに向かって走ってきていた。


初めはファンか、と思ったが
何か様子がおかしい。



手に何かを持って、俺に向かって一直線に走ってきている。


男がサバイバルナイフを手にしていると分かったときは、もう遅くて

男は俺にサバイバルナイフを振りかざした。


俺は思わず目を瞑る。



でも、

…あれ?痛くない?



「うぅ゙…っ」

そんな声が聞こえて、目を開けると最悪な光景がそこにあった。



ヤスが俺を庇うように立っていて、サバイバルナイフがヤスの肩へと刺さっていた。


あがる悲鳴。

走り去る男。


ヤスは力が抜けたように倒れ、その場で気を失った。





青「んぅ…」

緑「気ついた?」

あれからヤスは救急車で病院に運ばれた。


青「あれ?僕…」

緑「ここ病院。
傷深かってちょっと縫うたけど、二・三週間くらいで治るって」

青「…そっか」


緑「なんであんな無茶なことしてん」

青「ごめん」


ヤスは困ったように眉を下げながら笑う。

その表情はとても悲しそうで、胸が傷んだ。



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