。。忍(長編)。。

□先たまの過去!!
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桜が舞い散る中、忍術学園の入学式がひっそりと行われていた。
忍者の学校だし、盛大にやるのも変なわけで…ひっそりやるのが妥当だ。

伊作は、同じ新入生の顔を眺めていた。
不安と緊張とで固くなっている者、これからの生活にワクワクしている者、なぜかすごく不機嫌にしている者…

〈あの子、なんであんな怒った顔してるんだろ〉

伊作の見つめる先には、少し大人びた顔をした忍たまがいた。
少しきょろきょろして、どこかへ行こうとしている様子だった。
髷を結っておらず、髪が風に吹かれサラサラ揺れていた。
少年…というよりは美少年といった方がいいかもしれない。整っている顔だった。
そんな美少年に一人の教師が近づいて行った。

「そこ!!そっちはくの一教室の入学式だ!!
君はこっちだろう…えーっと」

教師の名前は山田伝蔵。彼は手元の入学書類を見ながら美少年に言った。

「字が汚いなー…えーっと山田ゆい?」

その美少年はますます怒った表情をしていたが、少し何か考えるような顔をしたと思ったら、急に笑顔になった。

「すみません。向こうはどうなってるのか気になって…」

「ふむ。探求心があるのは結構だが、集団の輪を乱すな」

「はーい…」

そう言ってゆいは新入生が待機している場所に戻ってきた。
伊作の視線に気づき、ゆいは伊作の方に近寄ってきた。

「お前、おれのことずっと見てただろ。なんか用?」

いきなり声をかけられ、伊作はビックリして近くの木の根っこにつまづいて転んでしまった。

このころから伊作は不運に見舞われていた。さすが保健委員長ですね!!と乱太郎と伏木蔵は笑った。

いきなり転んだ伊作に、ゆいは腹を抱えて笑った。

「こんなとこで転ぶか?普通…
お前、面白いやつだな!!おれ、山田ゆい!!」

伊作の目の前に、右手が伸びてきた。
見上げると、ゆいがにっこり笑いながら手を差し出していた。
ゆいの手を借りて起き上がると、伊作も自己紹介をした。

「手、ありがとう。ぼくは、1年は組の善法寺伊作。よろしく」

「おれは、い組…。違うクラスかぁ…
でも、休み時間とか一緒に遊んでもいい?」

さっきまで強気の顔だったのが、しゅんとした顔ですがるように伊作を見つめた。
強気な顔をしたり、しゅんとしたり、笑顔になったり…ころころ変わる表情にすっかり伊作の心は惹きついていった。
もちろん、男同士なので恋愛感情ではなく、友達として惹かれていった。

「もちろん。クラス違うけど一緒に遊ぼう。ぼく、い組に遊びに行くよ」

それを聞いた瞬間、ゆいの顔がぱぁーっと明るくなり伊作はドキっとした。

「ほんとかー!?ありがとう、伊作」

「う、うん…」

伊作は、真っ赤になりながら頷いた。

〈女の子みたいで…びっくりした〜〉



「新入生集合〜!!」

山田伝蔵の掛け声とともに、新入生たちが集まってきた。


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