。。忍(長編)。。

□番外編*先たまと6年生!(前編)
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桜が満開を迎えた暖かい日。
父上に内緒で、忍術学園の入学式を迎えた。
父上は、忍術学園で実技の先生をやっている。
でも、くの一教室と忍たま教室はわかれてるみたいだから、あまり会えないかな…

入学書類を頑張って書いたんだけど、母上に字が汚いわね〜って呆れられた。
別に読めればいいよね?うん。

とりあえず、この書類を提出しないとかな。
入学書類を握りしめて、あたりを見回してみた。
…あっちかな?

学園の門をくぐって、園内を歩いていると受付らしきところがあった。
そこには、父上である山田伝蔵先生がいた。
いきなり私が来てビックリするかな?
なんて考えながら近づいた。

でも父上は、私と目があっても全然気付いたそぶりを見せない。
少し距離もあるから気づかないのかな?
ついに目の前に来たけど…あれ?

「入学希望かな?」

あれれ?おかしいな…
まぁ他の先生とか生徒の目もあるからかな。
じゃ、私も先生として接しないとだよね。

「はい!これ、書類と入学金です」

「元気があってよろしい」

入学書類と入学金を差し出した。
書類に目を落とした父上は、字が読みにくいのか目を細めている。
ちらっとこっちを見ながら、ゆっくり口を開いた。

「えーっと…、山田…ゆい君でいいのかな?」

…ゆい?…君?
ちょっと待って。全然気づいてない!?

「どうしたのかね?」

何も反応をしなかったからか、父上は不思議そうに私を見てる。
家に帰ってこないからって、娘の顔も忘れちゃったの?
まぁ確かに髪の毛短いけどさ。字も汚いけどさ。
もういい。こうなったらどこまで気づかないか、やってやろうじゃない!!

「あ、なんでもないです」

「ふむ。では入学式まで校庭で待機していなさい。
君のクラスは一年い組だ。
6年間、しっかり勉学に励むように!!」

「はい!!ありがとうございます!!」

やっぱり気づいてないし。
い組って忍たま教室だよね?くの一は一クラスしかないって聞いたし…
どうしよう。私、男の子たちのクラスにいれられちゃうのかな?
とりあえず校庭に行こう…



「はぁ…」

自然とため息がもれた。
それにしても父上、本当にひどいんだから。
でも、さすがに男の子と一緒ってまずいよね。
全寮制ってことは、男の子と同じ部屋になっちゃうわけだし…
なんか腹立ってきた。父上が間違わなければこんなことにならなかったのに。
くの一教室の方行ってみようかな?もしかしたら他の先生が気づいてくれるかもしれないし…そうだよ!!うん、そうしよう。

「えーっと…あっちかな?」

校庭から離れて、くの一教室を探そうとしたときだった。

「そこ!!そっちはくの一教室の入学式だ!!
君はこっちだろう…えーっと」

来た。父上、今度こそ間違えないでくださいよ。
手元の書類に目を落として、うーむとうなりながら顔をあげた。

「字が汚いなー…えーっと山田ゆい?」

…。
もういい。6年間、男になってやる!!

「すみません。向こうはどうなってるのか気になって…」

「ふむ。探求心があるのは結構だが、集団の輪を乱すな」

「はーい…」

絶対バレないで卒業してやる!
父上の背中を見ながら誓った。

ふと視線に気づいた。ちらっと視界に入るあいつ、さっきからこっち見てる。
なんだろ。バレたとか?いや、まさかな。
とりあえず声かけてみよう。
あ、自分のこと呼ぶ時、私って言うより、おれの方がいいよね。

「お前、おれのことずっと見てただろ。なんか用?」

いきなり声をかけたからか、そいつはビックリして近くの木の根っこにつまづいて転んでしまった。
悪いとは思いつつも、笑いをこらえられなかった。
手を貸してやり、起き上がらせお互いの自己紹介をした。
善法寺伊作。は組だそうだ。私はい組だから、別々のクラス。
せっかく仲良しになれたのに、ちょっぴり寂しい…
でも伊作は優しくて、遊びに行くよって言ってくれた。


これから始まる学園生活。
女とバレないように頑張ります!
そんでもって、誰にも負けない忍者になる!


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