。。忍(長編)。。
□先生のたまご、先たま!!
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見事に火縄銃の銃口に、手裏剣が突き刺さった。
〈ビンゴ〜♪〉
ゆりは小さくガッツポーズをした。雷鬼はというと、どこからともなく飛んできた手裏剣に驚きあたりを見回していた。
これで火縄銃は使い物にならない。ゆりはホッと胸をなでおろした。
しかし、先生らしき人物にはしっかり見つかっていた。
〈やっば、見つかった!〉
ゆりは、あわてて違う木に移動した。もちろん気配を消して。
〈危ない危ない。でも姿見られちったなー〉
一息ついてふと下に視線を移すと、忍たまたちがドクタケ忍者をだいぶ引き離しているのが見えた。
あんなにへばっているし、4〜5町程(1町=約110m)離れているから追いつくのは困難だろう。
「お前ら大丈夫か!?」
「「「うわ〜ん…土井せんせー!!!」」」
忍たまたちは、土井先生という先ほどの先生らしき人物に飛びついた。
みんな顔から出るものすべて出ているため、土井先生の服はぐっしょり濡れてしまった。
「お、お前らな〜…」
土井先生は苦笑いしながら3人の忍たまを抱きしめた。
〈やっぱり先生か…
そんであの子たちは忍たまか…〉
「「「先生!!実は…○×◎▼〜□:*@!◇?■△×!!」」」
3人いっぺんに話しているため、もう何が何だかわからない言葉になっていた。
しかし、土井先生は3人が話し終えたところで大きくうなずいた。
「そうか!よ〜くわかった」
〈えぇ!?アレでわかるの〜?〉
ゆりは驚いた拍子に木から落ちそうになり慌てた。
「つまり、お茶屋さんでお前らの密書とドクタケの密書が入れ替わったんだな?」
「「「そうなんです〜」」」
「で、取り返そうとして逆に追いかけられていたと…」
「「「そうなんです〜」」」
〈そうなんですか〜…
って余計なことすんなコラー!!〉
心の中で突っ込みを入れたところで、ふと殺気を感じた。
ゆりに向けられたものではなく、あの忍たまたちに向けられたものだった。
キーン!!
先ほどへばっていたドクタケ忍者が放った手裏剣と、土井先生の苦無(くない)とがぶつかる音だった。
「ぜーはー…ドクタケを…なめるなー!!」
ドクタケ忍者の後ろを見ると、数名の仲間がいた。
仲間を引き連れて頑張ってラストスパートを走ったようだ。
「お前たちは先に行っていなさい!
この山道を抜けたところに山田先生や、は組の生徒たちがいるはずだ!!」
「先生は!?私も残ります!!」
「乱太郎、いいから行け!!」
「ほら、乱太郎!しんべえ!行くぞ!!」
3人は山道の終わりを目指しかけだした。
土井先生と離れたところを見計らって、雷鬼が3人の前に立ちふさがった。