。。忍(長編)。。

□先たまの秘密をあばけ!!
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ちょうど次の時間は昼休みだった。
おなかをすかせた忍たまたちは、一斉に食堂へ駆け出して行った。
そんな中、乱太郎はひとり残ってゆりのもとへ歩み寄った。
ゆりは、いきなり自分のもとにやってきた乱太郎を不思議そうに見つめた。

「みんなお昼に行っちゃったよ?行かないの?」

乱太郎の身長に合わせるため、ゆりは少し屈んで話した。
そんな仕草に乱太郎はもじもじしながら、やっとの思いで言葉を発した。

「あ、あの…この前はありがとうございました!!
…えっと…お、お昼一緒に食堂行きませんか??」

最後の方は頑張って振り絞って声を出したのか、すごく大きな声になっていた。
ふと恥ずかしくなったのか、乱太郎は顔が真っ赤になりうつむいてしまった。
山田伝蔵はやれやれと頭を抱え、ゆりはニヤっと意地悪い顔で乱太郎に近づいた。

「どういたしまして。こちらこそ密書ありがとうね
お昼のお誘い、と〜っても嬉しいんだけど…
土井先生にもご挨拶行かなきゃいけないから、ごめんね…」

そう言って、あの時と同じようにまた色っぽい笑顔で乱太郎に迫った。
真っ赤だった顔がさらに赤さを増して、まるでゆでダコのようだった。

「また今度、一緒にご飯食べようね」

耳元でそう囁かれた瞬間、とどめを刺されたかのように乱太郎は尻もちをついた。

「ぶぁっかもーーーーん!!」

怒鳴ると同時に、山田伝蔵はゆりの頭に思いっきりげんこつを落とした。
あまりの痛さに涙目でうずくまるゆりにかまわず、山田伝蔵は怒鳴り散らした。

「生徒に色仕掛けしてどうする!!!」

余程の刺激だったのか、乱太郎はいまだに立てないでいる。
大丈夫か?と山田伝蔵が手を貸し乱太郎を立たせた。

「っ痛ー…少しは手加減してくださいよ!!
ちょっとおちゃめな悪戯じゃないですか!!」

まだ痛みが残っているため、頭を抱えたまま涙目で山田伝蔵を睨みつけた。
何がそんな問題なのだろう…ゆりは分からないでいた。

「ぬぁ〜にがおちゃめな悪戯だ!!
乱太郎、お前は食堂にさっさと行きなさい
ゆり、お前はわしと一緒に来い!!
次また生徒をからかったら、わしは容赦せんからな!!」

「ふぁ〜い…」

気の抜けた返事をしながら首根っこをつままれたゆりは、山田伝蔵によって引きずられていった。
残された乱太郎は、とりあえず食堂へと急いだ。




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