。。忍(長編)。。

□先たまの過去!!
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「伊作先輩とゆり先生は、入学したときから友達になったんですね」

「違うクラスだけど、一番最初に出来た友達がゆいだった。
女の子みたいに可愛い顔をした男の子だった…ですよね?新野先生?」

いつの間にか忍術学園の校医である新野洋一も話の輪に加わっていた。

「伊作先輩、ゆり先生はなんで自分が女だって言わなかったんですか〜?」

伏木蔵が尋ねると、乱太郎もうんうんうなずいた。
確かに、違うならそう言えばいいと乱太郎は思った。
伊作と新野先生は顔を見合わせ、少し苦笑いをした。

「多分、山田先生が気づかなかったのが原因だと思うよ。
ゆいから直接聞いたわけじゃないけど…多分…ねぇ新野先生?」

「「???」」

乱太郎と伏木蔵は、ますます分からない顔をした。
伊作は2人を自分の近くに来させ、こっそりと話した。

「自分の父親に気付いてもらえなかったから拗ねたんだよ。ゆいは意外と子供だから…」

「父親?って誰がですか?」

乱太郎はまさかとは思ったが、恐る恐る伊作に尋ねた。

「山田先生だよ。ゆいは山田先生の娘さんなんだ」

「あー父親…。山田先生が…父親…。
え…えぇ!?本当ですか??」

乱太郎だけではなく伏木蔵も目を丸くして驚いた。

「うん。あ、ちなみに…このことは今の6年生しか知らないんだ…驚いた?」

首をぶんぶん縦に振り、言葉も出ない2人だった。

「でも父親に気付いてもらえなくて、意地張って男の子のクラスに入るなんて…すごいスリル〜」

「山田先生なんで気付かなかったんでしょうね?学園長先生も気づかなかったんですか?」

伊作は首を振った。

「いや、学園長先生はご存じだったみたいだよ。どういう経緯で知ったかは分からないけど…。
山田先生は本当に気づいてなかったみたいで、卒業式の日が大変だったよ」

「確かにあの日は大変だったな…」

保健室のふすまがスッと開いて、仙蔵が顔を出した。

「立花先輩〜どうしたんですか〜??」

伏木蔵が駆け寄ると、仙蔵が腕を少しまくって見せた。
見ると軽い火傷が出来ていた。

「ちょっとしくじってしまって。薬をもらいに来たんだが…面白い話をしているようだな」

部屋に入ってきた仙蔵は伊作の前で腰をおろした。
伊作は、手際よく仙蔵の腕に薬を塗りこみ、その上から軽く包帯を巻いた。
部屋に薬草の独特な匂いが漂った。
簡単な処置が終わり、乱太郎は仙蔵に尋ねた。

「ゆり先生がい組だったってことは、立花先輩は同じ組だったんですか?」

仙蔵は目を細めフッと笑った。

「あぁ。あいつと私と文次郎が4年間同じクラスだった」


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