となり。

□出会い。
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---春  上田城付近 森

「血・・・?」
そう呟いたのは、猿飛佐助。森に動物達の様子

を見に来た所、地面に血痕らしきものを見つけ

た。その血は動物のものか、人間のものか。ど

ちらにせよ手当てをしなければならないのには

変わりない。佐助はその血痕をたどっていっ

た。すると、

「!!」

一人の少年が倒れていた。深い傷を負っている

ようだ。佐助は、その少年を上田城にもどって

すぐに怪我の手当てをした。佐助は、幸村に報

告をしに行った。

「我 森で 雨春達の 様子 見に行った。

少年 怪我してた 故に 我、助けた。今、我

の部屋 寝てる」

「ほお。森で怪我人とは、物騒じゃな」

「少年 起き次第、報告!」

「わかった。たのむぞ、佐助」

「諾」

* * * * *

(起きない・・・)

あれから三日たっているが、少年は起きない。

「どうですか?少年の調子は」

と、六郎が茶を持って聞いた。

「傷 治って来てる・・・でも 目 覚めない」

と、しょんぼりしながら言った。

「・・・お茶、飲みますか?」

「諾」

「・・・優しいですね。佐助は」

「? 何故?」

「見ず知らずのこの少年に、怪我の手当てをしたからですよ」

「?? 人 助ける 普通 我 変?」

「いいえ。変じゃありません。・・・いずれ分

かりますよ。では」

そういうと六郎は、行ってしまった。

(我 優しい?? いつか 分かる?・・・??)

佐助が混乱していると、

「・・・・ん・・」

「!!」

少年が目を覚ました。

「どこ?・・・」

と、自分に聞かれた気がして

「我 猿飛佐助。 ここ 上田城の我の部屋。

お前 名は?」

「・・・・ぼ・・僕は清水朱莉(きよみずあか

り)・・です・・」

「朱莉 森で 倒れてた 我 見つけた。朱

莉、怪我してた 故に 我 手当てした」

「あ・・ありがとうございます」

「朱莉、倒れてた 何故?」

「・・・・・・」

そう言った途端、朱莉は俯いて黙り込んでしま

った。

「朱莉 話したくない?」

佐助が焦りながら聞いた。すると、朱莉は俯い

たまま話し出した。

「僕は・・・生まれた時から両親がいなく、親

戚の家を淡々としてきました。僕は、男なのに

美系だからって女のように育てられた。僕のた

めに必要なことだと思ったから僕も嫌がらずに

やってきたけど・・・・でも、それは違った。

僕を女のように育ててるのは‘金‘のためだっ

た。僕が舞を踊れば、その観覧料で稼げる。つ

まり、僕は利用されてたんだ。僕は利用される

のが嫌だったし、悲しかった。僕は、僕として

見てもらえない。朱莉として見てもらえない。

だから、僕はあの屋敷を飛び出したんだ。そし

たら、あの屋敷の主は、僕を連れ戻そうと思っ

たらしいよ。でも、僕は帰りたくないから「つ

れてくんだったら死んでやる!」って自分を傷

つけたんだ。そうしたら、追手は帰って行った

んだ。でも、僕は意識が遠のいてきて・・・・

このまま死んでもいい、そう思ったんだ。・・

で、今にいたるってわけかな・・・」

「・・・・朱莉・・・泣かないで・・・」

「え?」

朱莉は、自分でも気付かない間に涙をだしてい

た。

「あれ?なんで?涙が・・・佐助?」

佐助は、朱莉を優しく抱きしめた。

「大丈夫、泣きたい時 泣けばいい。我 そば

にいる」

と、さっきよりも優しく声をかけた。

「う・・・あり、が、と・・・佐助」

その後、朱莉は思いっきり泣いた。

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