貴方は希望を持ちえる

□第一章 ゲルテナ展へようこそ
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「ねぇねぇ、ダイアナ!ゲルテナ展へ行かない?」

「…はぃ?」



暖かな午後、紅茶の甘い香りが広がる雰囲気のいいオシャレな喫茶店の中で彼女の間抜けな声が響く


「ゲルテナ展よ!ゲルテナ!」

「落ち着いてニンフ、まず説明をくださるかしら」

ディアナことダイアナと呼ばれている女性はニンフと呼ばれる彼女を落ち着かせようとした


「ご、ごめんなさい。私としたことが…まぁ、サクッと言っちゃうとゲルテナ展のチケットが二枚当たっちゃったのよね♪」

ニンフはとても嬉しそうに言った

そんな彼女と反対にディアナは「ふーん」と言って紅茶を優雅に飲み興味がない様子


「ちょっと!ダイアナ!!アナタ反応薄すぎ!あのゲルテナ展のチケットが当たってる奴が目の前にいるのよ!」


「そんなこと言われてもワタクシは芸術への興味が貴方ほどありませんもの。それにゲルテナはよく聞く名前だけれどもワタクシあまり知らないわ」

そう言って再度紅茶を飲む


「もー、お嬢様のくせに食い意地ばっかりはって…」

「なんのこと?」

ニンフがディアナの目から横へと目を向ける、そこには何枚も重ねられた食器が積み重なっていた

「証拠があるのにとぼけるつもりぃー?」


「…」

ディアナは痛いところをつかれ黙るしかなかった

「この話はとりあえずおいといてー!」

(おかなくていい、むしろ記憶から抹消してくれ)

「ダイアナ、私とゲルテナ展いこぉ♪」

ニンフはとびっきりの笑顔でチケットをディアナに差し出した

ディアナは素敵なニンフの笑顔に負け、ゲルテナ展へ行くことになってしまった

「本当に嬉しい!ありがとう、ダイアナ!」

嬉しそうに話す彼女だったが腕時計を見て突然椅子から立ち上がった

「大変!私いかなくちゃ!!ごめんね!」

「あら?もしかしてレポートを出しに?」

「そう!今日までって忘れてたわ!じゃあ行くわね!」

「えぇ、急いで転ばないようにね」

「はーい!」


そう言ってニンフは風のごとく走り去ってしまった

残されたディアナはまた優雅に紅茶を飲み始めると
さきほど渡されたチケットに目をやる

「ゲルテナ、ね……」

そう呟くと立ち上がり会計を済ませる

雰囲気のいい喫茶店を出ると青い空が広がっていた
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