FT 短編
□たまには喧嘩も悪くない
1ページ/4ページ
『グレイなんか大っ嫌いだ…!』
「っ、オレだってお前みたいな男女こっちから願い下げだ!!」
『もういい!わかったよ!お前ん家から出てく!こんなヤツとなんか暮らしていけない!』
「そりゃ嬉しいぜ!オレもそう言おうと思ってたところだ!せいせいするわ!!」
真っ昼間ギルド内に男と女の怒声が響き渡る
売り言葉に買い言葉でエスカレートしたこの2人が口喧嘩をしている理由。
それは少し時間を遡る
ーーーーーーー
ギルドにていつものメンバーと昼食をとっていた時の事
みんなより一足先に食べ終えたアイルとルーシィは2人である雑誌を読んでいた
食い入るように見ている2人からは時折奇声が発せられる
「何やってんだ?あいつら…;」
「エロい本でも見てるんじゃね?」
「ナニッ?!アイル、ルーシィ!!私にも見せろ!!」
「「…………;」」
ナツの冗談にエルザがのってしまい、男2人が残されなんとも言えない気まずさにお互い嫌な顔をした
そんな中、盛り上がっている3人の会話に耳を傾けると
「この中でどれが一番好み?」
「私は決まっている。1位だ。」
「だと思ったけどね。じゃあアイルは?」
『うーん…やっぱりこれ…かな』
「だろうな」
「やだぁ!アイルったら!本当、こんな男のどこがいいのよ?わからないわ〜」
なんてガールズトークが聞こえてきた
少しアイルの言葉にイラッとしたが、きっとソーサラーの何かのランキングでも見ているんだろうと自身を宥めようとした
しかしルーシィにからかわれて、まんざらでもなさそうに真っ赤な顔をして俯くアイルの姿が目に入った瞬間
プチ。とグレイの頭の中で何かがキレた
「おい。」
『…え?な、なに…///』
「あ。グレイ!アイルったらねぇ、週刊ソーサラーの”抱かれたい男ランキング“でね…『わーーーッッッ!!言うなぁっ!!///』
へぇ。抱かれたい男ランキングねぇ…
アイルもその中の誰かに抱かれたいってのかよ
ふざけんな
「…このアバズレが」
この時、もう自分を止められないと思った。
アイルの顔を間近で見たら無性に腹が立って仕方がなかった。
『え?』
俺の発言に、アイルが大きな瞳をパチクリとさせた。
驚いたような顔をしている。
「抱かれたい男だぁ?バカかテメェ。ふざけんのも大概にしろよ」
『……は?』
「ちょ、グレイ;?」
「グレイ。やめないか」
止まらない、。
自分の中で渦巻く黒いものに取り憑かれて正気の沙汰ではいられなかった
「だいたい、お前自分の事わかってんのかよ?世間はお前を男だと思ってんだ。誰だか知らねェがお前に抱かれたいなんて思われたヤツの身にもなってみろ!!気持ちワリィ」
そう俺が言うと、アイルは一瞬瞳が揺らいだが、すぐに鋭い目付きにかわっていく
「グレイ!やめろと言っているだろう!何を言っているのかわかってるのか?!」
『さっきからなんなんだよテメェ。言わしておけば意味のわかんねぇ事ばっか抜かしやがって!!バッカじゃねぇの?!頭いかれてんじゃねーか?!』
「アイル!!お前もよさないか!!」
頭に血が登った2人はエルザの静止の声も届かず罵り合った
ーーーーーー