With the frozen finger

□『Respond on that occation』
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オアシス都市ウータン。街は活気に溢れ、人々は市場(バザール)で買い物をしては世間話に花を咲かせている。

だが今日は一段と騒がしい。どうやら新しく貼られた貼り紙を見ているようだ。


「銀髪盗賊団 謎の壊滅!仲間割れか?」


隊商(キャラバン)の中でも一際目立っているところがあった。男勝りな商人、ライラが売り出しをしている店だ。
隣では、その隊商の長の娘、サアサがいる。ライラは巧みな話術で、お客たちを引き込んでいく。
商人たちは口々にライラを褒めた。赤く染まる頬。クスクスと笑う親友の声。何もかもが上手くいっている。
彼女にとって今は、人生で一番、幸せだと思えるような時間だった。人生最後のようなことを言っているが、これは、もちろん比喩だ。
死んだりしない。てゆうか死ぬもんか。一人で、そんなことを考え、ライラはフンと鼻を鳴らした。
あぁ、そうだ、商品を持ってこなくては。自分に喝を入れてから車へと向かう。そして中を見て息が止まった。


「な…なんだてめーらっ!?」


そこにはバリバリと商品を食べるガキとフードを被った怪しい女(?)と厳格そうな美男子がいた。思わず剣を引き抜く。
そいつらが言うには旅人らしい。いや、それは、どうでもよくて………止めろよ後ろ!!めっちゃ食べてんじゃねーか!!
額に浮かんだ青筋が切れそうだ。サアサは力が抜けたのか座り込んでいる。これはアレだ、盗賊…………なのか?
頭の中に焦りと怒りが入り混じる。


「今は、この赤くてあま〜い果物で…食事をしているところさ!」


その「盗むのは当たり前ですから、テヘ☆」みたいなノリにライラは、とうとうキレた。しかし……


『いいじゃない、そのぐらい』

「そのぐらいって……その果物は、私達の大切な商品なんだぞ!」

「(ビクッ …!?大切な……?それはすまないことをしたね……ど…どうしよう……)








「三日間、タダ働きだ―っ!!」








こうして三人は市場で働くことになった。









*****








『へぇ〜結構大きい市場じゃない!』


アラジンの手を握る手が楽しそうに揺れる。


「でも、楽しいことばかりじゃないのよ。砂漠には色んな「盗賊団」がいるから…」

「盗賊団?」


首を傾げるアラジン。


「砂漠にひそんでいて、そこを通る隊商から商品を無理矢理奪う怖い人たちよ。盗賊の人たちはああいうふうに………

奪った商品を闇市で売って暮らしているの…」

「へ〜」

「「へ〜」じゃないだろ、なんで知らないんだよ」

『(確かアラジンがこの前襲われてたのって…盗賊よね?)』

「(はい。気づいてないようですけど…)」


















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