So Fine 1

□20話
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時間通り、宿舎に吉田さんは迎えに来てくれた。


会場まで30分の車内で、昨日あったことを話した。


吉田さんは キボムらしい と言って笑っていた。


吉田「こんな仕事だからね、人権も何もないわよ。
嫌な事を言われて傷つけられるのはしょっちゅうよ。
危ない目にもあうし、怖い思いもたくさんしてる。
だからこそ、名前さんのこと分かってあげられたんじゃないかな。
辛いとき何が一番必要か、…キボムは目の前で何度も見てきてるからね。。」



私より若いのに、こんな辛い思いを何度もしてきてるんだ。。

自分の決めた道のせいで嫌な思いをしても、突き進む彼らの強さを感じた。




テミンを助けたのも私が勝手にやったこと。

後悔はしていない。


彼らの存在は、私に自信を与えてくれる。



手首のブレスレットを触りながら、キボムの存在に感謝していた。












会場に着くとスタッフ用のパスをもらい、
吉田さんと共に、今SHINeeがリハーサルをしているというスタジオに向かった。




近づけば近づく程、大好きなSHINeeの曲が聴こえて胸が高鳴った。



関係者が行き来する入口付近で邪魔にならないように隅っこの方でステージを見る。

スタジオの中はSHINeeの歌声と歓声で包まれていた。



ファンが見守る中、ステージの上で踊るSHINeeは、
衣装とメイクのせいか、家の中で騒いでる彼らとは違っていた。


目の前にいるのに、手の届かない存在。




私が一緒に住んでいる彼らは普通の男の子たちなんだと勘違いしそうになっていた。

本当は才能を持った、私とは住む世界の違うスターなんだと
思い知らされていた。






和気あいあいとした雰囲気の中でも、
ミノの穴をうめるべく、変更された構成をお互い確認しながら、リハーサルを進めている。



数曲のリハーサルを終え、一旦メイクを直しに楽屋に戻るらしい。



名残惜しそうなファンの声援のなか、SHINeeは私の目の前を通る。




私を見つけて ヌナ〜! と笑顔で呼んで手を振ってくれたキボム。

満面の笑みで通り過ぎるテミン。

チラッと見ただけで特にリアクションもないジョンヒョン。

周りのスタッフにお辞儀をしながら進むジンギは、目の前で私に気付いた瞬間 わぁ! と驚いてそのまま行ってしまった。










本番までの少しの間、吉田さんと待合室のベンチに座ってコーヒーを飲んで待つことにした。






吉田さんの話だと、

この後、吉田さんは違う仕事に行かなくてはいけないので、
ステージが終わったら、彼らと一緒に家に帰っていいらしい。


ただ、一緒に車に乗るところを見られたらマズイので、時間差で移動してほしいとの事だった。



駐車場までの行き方を教えてもらい、吉田さんとはここで別れた。










本番が始まるというので、さっき居た隅っこの方でSHINeeを見ていた。





真剣な表情でステージに立つ彼らは、やっぱりスターだった。








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