So Fine 2

□48話
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ジョンヒョンの言葉は嬉しかった。

ジョンヒョンの優しさもテミンの想いも、
私は置き去りにして、ここから出て行く。



その罪悪感だけで、この二人に話してしまえば、
私の決意は揺さぶられてしまいそうで、怖かった。

そしていつか、私の想いがテミンを苦しめる時が来る。







リビングに戻り、私はジンギの部屋のドアをノックしていた。



リーダーでありこの家の家長であるジンギには、ちゃんと話しておこうと思った。

いや……本当はそれはただの言い訳で、
この家の誰一人言わずに出て行く事に耐えきれなくなっていただけかもしれない。。





物音の聞こえない部屋の様子に、
もう寝たのかと諦めてドアから離れようとした途端、
ガチャリとドアが開きジンギが顔だけを出した。


名前「ごめん…。寝てた?」

オニュ「ううん、本読んでた。なかなか寝付けなくて。
…どうぞ」

ドアを大きく開け、私を迎え入れる。



言っていた通り、さっきまで読んでいたであろう少々分厚い本が机の上に置いてあった。


オニュ「…これね、眠れない日にはピッタリなんだ。」

優しい声でそう言いながら、その本に目を落としたジンギが
次の瞬間、机に手を着き、俯いたその顔を歪ませながら目を閉じた。


オニュ「……うそ。
ほんとは待ってた。ヌナが来るんじゃないかって」


さっき、テミンの姿に途中で飲み込んだ言葉を、
ジンギは気にしていたんだ。



名前「ごめん…。すぐ来るべきだった」

オニュ「いいんだ。
話…聞かせてくれる?」

名前「………私、…明後日ここを出ようと思ってる。」



口を一切挟まず、頷くこともせず、ジンギは静かに私の話を聞いていた。



出て行くこと、メンバーの誰にも話してないこと。
この決断に至った自分の気持ち。





話し終えても、ジンギはすぐには口を開かなかった。

表情から読み取れるものは無く、徐々に不安が私を包みだすと、やっとジンギは言葉を発した。


オニュ「…いやな予感が当たった。。」

名前「夢見たって言ってたもんね、私が居なくなる。」


無言で下を向くジンギの横顔が、怒っているようにも落胆しているようにも見える。



オニュ「……後悔…しない?」

そう言って、ジンギは心配そうな顔で私に目を向けた。




何度となく自分に問いかけてきた言葉を、こうやって直接耳で聞くとでは
想像以上にショックが大きい事を痛感した。


それでも、引いちゃダメなんだ。

ここで怯んだら、
テミンが悪者になってしまう。


自分の決断だ。
私が一人で決めた、誰のせいでもない、自分の決断なんだ。




何度となく自分に言い聞かせてきた答え。





私はジンギの目を真っ直ぐ見据えて微笑みかける。

名前「うん」



ジンギは小さく何度か頷き、納得しようとしているのが分かる。


オニュ「いつか来るんだってわかってたんだけど…。
本当にヌナがいなくなるのは、やっぱり…寂しい」


目を潤ませたジンギを直視すると、私まで泣いてしまいそうで、
私は視線を落とした。


名前「…みんなには本当に感謝してる。
私を受け入れてくれて、優しくしてくれて。
すごく楽しかった。ここでの生活は一生忘れないよ。」


オニュ「…ありがとう、話してくれて。」

ふわっとジンギが立ち上がったかと思うと、
広げた腕で私を抱きしめた。




別れのハグは寂しくて辛いのに、
とても温かかった。





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