So Fine 2

□26話
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夜12時を過ぎると、テミンが帰ってきた。



名前「おかえり」

今まで通り笑顔で出迎えるように頑張った。


私を見たテミンは、一瞬目線を外して気まずそうな顔をしていた。

テミン「…ただいま。」



しょうがない。私だって十分気まずい。






心配していたテミンの手首には、包帯も湿布も無かった。

我慢しているか、もう痛くないか。


気になったとしても、聞いてしまった時点で、あの時のことを蒸し返すことになる。


この空気に耐えきれず、私は足早にリビングに戻った。









背を向けるようにソファに座り、テレビに戻った。




この日は音楽番組の総特集をしていた。

テミンがリビングに入ってきた途端、
運の悪い事に、BOAの「Only One」が流れた。



テミンが出るステージではなかったけれど、ふたりきりのこの状況にあの日の出来事が蘇る。


背後に神経が向かってしまうのを抑えきれずにいたせいか、
ゆっくりとこちらへ近づいてくるテミンの静かな足音が頭に響く。


何かに躊躇っているように、後ろで立ち尽くすだけのテミンに、
いっそのこと、このまま部屋に戻って行ってくれたらと願った。


その願いはもろくも、肩に優しく置かれたテミンの手の温もりに消えていく。




いまどんな顔してるの…?

何を考えてるの……?

わたしのこと、どう思ってるの…?


抑えている気持ちが止まらなくなる。




何も見ない、何も考えない。

目をグッと閉じる。







背中に屈んだテミンの胸が当たったと同時に、後ろから力強い腕で抱きしめられる。

私の首元に顔を埋めたテミンの髪が頬に当たり、
シャンプーの香りがする。



テミン「名前…さん。」



細く白い腕が、私の胸の前で交差している。








それ以上、お互い何も言葉を発さない。


それでもきっと…気持ちは
同じだ。








求めているものは…同じ。



テミンの腕にそっと手をかけ、

片手で肩に乗るテミンの髪をそっと撫でる。


抱きしめる腕を緩め、
テミンは顔を少し上げると、潤んだ目を向けてくる。


顔を向けることに躊躇いを感じながらも、視線だけテミンへ向けた。


彼の甘く熱い視線が、私を溶かしていく。

頬へ伸びてくる手のひらが、そっと私の顔の向きを変えさせると同時に、
下がっていくテミンの視線が、唇を捕らえたのが分かった。






ゆっくりと近付く唇の距離

目を閉じ、重なる








求めている。


お互いを。。









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