So Fine 2

□35話
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 <共同生活 19日目>



カーテンの隙間から差し込む外の光で、部屋の中がうっすら明るくなっていた。


うたた寝のつもりが、思いのほか長い時間寝てしまった。




…ジョンヒョン帰ってきたかな。




重いまぶたを開け、起きあがる。

ソファでウトウトしていたはずの私に布団が掛けられていた。



ジンギが掛けてくれたのかな。



そんな事を思い、自然と笑みがこぼれると、
愛おしい布団を触りながら辺りを見回した。




体が跳ねるほど驚いた。


隣の一人掛けソファに、膝をかかえ動かない誰かの存在に一気に目が覚めた。


一瞬ジョンヒョンが帰ってきていたのかと思ったが、
そこに居るのはどう考えてもジョンヒョンではなかった。


顔は膝に埋もれて見えない。
それでもサラサラと落ちる濃い茶色の髪と細いズボンを見て
それがテミンだと確信した。




なぜここにテミンが居るのか、いつから居たのか、
全く気付かなかった。




のぞき込むようにテミンを見ていると、
急にテミンの頭が動き出した。


目を閉じたまま顔を上げ、ソファの背もたれに頭を寄りかからせた。



こんな体勢でも熟睡しているテミンを可笑しく思うと同時に、
深い息と共に動く肩が愛おしかった。





この布団、テミンが掛けてくれたのかも。。




眠っているテミンに、そっと私に掛かっていた布団を掛ける。



テミンの目が薄く開いた。

そのまま黒目が私の顔を捕らえた。


名前「…あ、ごめん。。起こしちゃった。」


テミンは、 ん〜〜っ と目を閉じて伸びをした。

それから一つ息を吐き、小さく開いた目で私を見て微笑んだ。

テミン「おはよ」


寝起きの瞬間から目が離せず見入ってしまう。


名前「おはよう」


優しく微笑むテミンを見ていると、嬉しさと切なさが同時に私を覆い尽くす。




テミン「…寒くなかった?」

小さく細い声で、テミンは話しかけてくる。


名前「うん。お布団かけてくれたんだね、ありがとう。」

テミン「…名前さんが風邪ひいちゃいけないから。」


気遣ってくれているだけだと分かっていても、
それでも嬉しくてたまらない。


名前「これ、テミンのお布団でしょ?」

テミン「うん」

名前「テミンは布団掛けずに寝てたの?」

テミン「…うん」

名前「いつからここで寝てたの?」

テミン「わかんない」

名前「……。
寒くなかった? ごめんね。。」

テミン「僕は平気だよ。」


私がこんな所でうたた寝なんかしてたから。

テミンに風邪でもひかせたらどうしよう。。


テミン「ほんとは部屋に戻れば布団なんかいくらでもあるんだ。
…ただ僕が勝手に名前さんの側に居たかっただけだから。」


真っ直ぐなテミンの言葉を聞くと、
逃げたままの自分がなんて答えたらいいのか分からなくなる。





気まずい沈黙を遮るかのように、
ジンギの部屋のドアが一気に開いた。


オニュ「ジョンヒョンはっ!?」


私は完全に眠っていたので分からない。
もしかしてテミンが知っているかと、テミンの顔を見た。

テミンは一瞬私を見たと思ったら、すぐ目を逸らした。


テミン「……いや、まだ。。」


オニュ「えーーーーっっ!?」


ジンギはひどく困った顔をしていた。。




キボムの部屋のドアも開き、キボムがゆっくり出てきた。

私たちとジンギを見渡して雰囲気で察したようだ。


キー「……。もしかして…帰ってないの?」

オニュ「キボムどうしよう!さっきから電話しても繋がらないんだ。
マネージャーに連絡した方がいいのかな。。」

ジンギは手に携帯を持っていた。


キー「待って。」

キボムは部屋の中に戻って携帯を持って出てきた。


電話をかけている。

キー「……。繋がらない。電源切ってる。」

 
オニュ「ねぇマズイよね?マネージャーに連絡した方がいいよね??」


ジンギが珍しく慌てている。

キボムも困った顔で、ジンギと何かを話している。





もしかしたら…、万が一…

そんな微々たる期待にすがるしかなかった。



連絡が来てもすぐ気付けるように、テーブルに置いておいた携帯でジョンヒョンに電話をかける。




……

……

……


…やっぱり繋がらない。


電源が入っていない。。





この瞬間、私が手に持っている物は
ただの四角い塊にしか思えなかった。







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