So Fine 2

□36話
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  テミンside



消毒薬を取りに行っていた名前さんが戻ってきた。


今まで放っておいた僕も悪いんだけど、
触っただけでも痛いのに、消毒とか…こわい。



この後来る痛みに耐えるため、膝の上で拳を握って待つ。


名前さんは消毒薬をつける時、僕の耳に優しく手を添えてくれる。

冷たい消毒液がピアスホールに当たると激痛が走り、足をバタバタさせながら声にならない声が出てきてしまう。




何回か痛みに耐えていると名前さんの添えられた手がゆっくり離れた。

お礼を言う為に名前さんの方に顔を向ける。



離れていると思った名前さんの目がすぐ近くにあった。

驚きと嬉しさと共に、
都合のいい期待が胸に広がる。




 キス …したい




名前さんは慌てて目を逸らし、体を引いた。


勝手な期待が、ただの願望で終わった合図




僕は静かにお礼を言って自分の部屋に戻った。








息が苦しい。


目を逸らされただけで、こんなにうろたえるなんて。。



ヒョンの彼女になったからって、すぐ気持ちが消えるものじゃない。


…こんなに好きなんだ。

名前さんへの想いが胸に収まりきらず、溢れかえっているのに吐き出す術もない。


…苦しいよ。。





ーーーーー付き合ってる女放っといて、ヌナに手出してんじゃねーよ!!



ジョンヒョニヒョンの言葉が頭を過ぎる。



たとえ伝える事が許されなくても、名前さんへの気持ちが大きくなる今、
僕にはどうしても整理しなきゃいけない問題があった。





カバンから携帯を取り出す。

発信履歴の中にすぐ見つけられるはずの名前が、
今はずっと下の方に一つだけ表示された。



自分がどれだけソヨンを避けていたか、見せつけられている気がした。



ソヨンの名前を選び電話をかける。




いくら呼び出しを待っても、ソヨンはなかなか出ない。

もう一度かけ直しても、ソヨンは出なかった。





時間を空けてかけ直そうと、携帯を机に置くとすぐ、誰かからメールが来た。



ソヨンからだった。


驚いた。

急いでメールを開けた。 




[今は話せない もう少し考える時間が欲しいの]




考える時間。。


もしかしたら、ソヨンは僕が電話をかけた理由に気付いたのかもしれない。



ソヨンにメールを送る。



[わかった。 明日また電話するね。 話せるようになってたら電話出て。]




ベットに寝転がり天井を見る。


ソヨンは今何を考えているんだろう。。



リビングから聞こえてくる名前さんとオニュヒョンの笑い声が心地よかった。

僕はそのまま目を閉じ、たまに聞こえる笑い声に耳を澄ませながら眠りについていた。







目が覚め時計に目をやると午前4時を過ぎていた。

ドアの隙間からリビングの明かりが入ってきている。


隣のベットに、やっぱりジョンヒョニヒョンの姿はない。


名前さんはまだ起きてリビングで待ってるんだろう。





リビングは電気もテレビも付いたままで名前さんの姿がなかった。


ソファを覗くと、丸まって寝ている名前さんを見つけた。

前にまわり、しゃがんで寝顔を見た。




なんでジョンヒョニヒョンはこの人を放っておけるんだろう。

僕だったら何があっても絶対に離れないのに。





テレビを消し、
僕は自分の部屋から布団を持ってきてた。

名前さんにかけながら、
気持ちよさそうに寝ている顔をのぞき込み、つかの間の幸せを感じていた。



名前「…ジョン…ヒョン」




…この苦しさはどうやっても癒えそうにない。




僕はただ、ずっと側で名前さんを見ていたいんだ。



隣のソファに座り、目の前で眠る愛しい人との空間をかみしめる。




不思議とジョンヒョニヒョンへの怒りはなかった。

こうやって近くに居られる口実になるんだから。










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