So Fine 2

□38話
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ジョンヒョンside



悪い夢を見てるようだった。



…なんでこんな事になっちゃったんだろ。。









マネージャーに連れられて室長室へ向かう。


まだヒョンに突き飛ばされた時に打ったお尻が痛い。。




マネージャーが先に入り、俺は後ろをついていく。


横に並ぶとマネージャーは深々と頭を下げた。

「申し訳ございませんでしたっ!!」


俺も合わせて頭を下げる。




室長「…すまんがジョンヒョンと二人で話がしたいんだ。」


室長の言葉に、マネージャーは俺を心配そうにチラッと見てから、苦い顔をして部屋を出て行った。




室長「ジョンヒョン、今回の件については報告を受けている。
……君には迷惑をかけてしまったね。」


思いもよらない言葉に返事も出来ず、ただ驚いていた。


ヨンアの叔父さんでもある室長には、怒鳴られる覚悟をしていたから。



室長「あの家に行ったんだろう。
ヨンアが家に入ったのは…1年ぶりになるかな。。

あの子の父親は私の兄でね、海外の仕事のせいでヨンアが生まれた頃から家にはほとんど居なかったんだ。
ヨンアはずっと母親と2人で暮らしていて、あの子にとって親と言えるのは母親だけだったんだよ。」


俺は室長の話を静かに聞いていた。


「その母親が1年前、不慮の事故で亡くなったんだ。。

残されたヨンアは食事もろくに出来ず痛々しいほど弱っていたよ。

葬儀で戻ってきた兄は、ヨンアを連れて行くと言ったんだがね、
私はどうしても賛成できなかった。

ほとんど家にも帰らない兄と暮らすなんて、知らない土地で弱り切ったヨンアをひとりにさせるようなものだからね。。

私は半ば強引にヨンアの世話を買って出たんだ。
あの家から出させ、離れた宿舎に住まわせたんだ。」


昨日のヨンアの様子で、そんな気がしていた。


「君には申し訳なかったが、幸いヨンアが好きだというジョンヒョンは私の会社の所属だったからね、
今回の企画でレッスンを頑張れば番組でSHINeeと一緒に暮らせるようにするとヨンアに話したんだ。
そこから大学を休学して、レッスンに打ち込む事で少しずつ生活を取り戻していったんだ。」


だからこの企画にSHINeeが選ばれたんだ。。


「ヨンアにとっては君は唯一の支えなんだ。
…君にとっては迷惑な話だろうがね。。

昨日はヨンアも舞い上がって羽目を外してしまったようで、君には本当に迷惑をかけたね。

感謝しているよ、ヨンアと一緒に居てくれたこと。
本当にありがとう。」


室長は涙を浮かべて何度もお礼を言っていた。



結局、俺の処分は反省文5枚だけで済んだ。







廊下に出るとマネージャーと一緒に、ヨンアが立っていた。


ヨンア「オッパ…ごめんなさい!叔父さん酷いこと言わなかった?オッパ大丈夫?」

ジョンヒョン「室長はそんな人じゃないだろ?お前を心配してるだけだよ。」

ヨンア「…ごめんなさい、迷惑かけて。。
こんなつもりじゃなかったのに。。オッパにこんな事…。」

そう言うと顔を手で覆って泣き出した。





…誰も好きな相手を困らせたくて近くに居るわけじゃない。。




「もう…オッパには近付かないから。。これ以上迷惑かけない。本当にごめんなさい。」





好きな人に思う事は、
辛いときは、ただ側に居てほしくて、横に居てくれたらそれだけでいい。





ジョンヒョン「マネージャー、ちょっとだけヨンアと二人で話す時間もらえませんか?」

マネージャーは、やれやれといった表情で廊下を進み俺たちから離れて行く。




顔を覆うヨンアの腕に触れ、顔をのぞき込むようにゆっくり話す。


ジョンヒョン「ヨンア、…俺には大事な人がいるんだ。傷つけたくないし不安にさせたくない。
それでもお前のこと放っておけないって言ったのは嘘じゃない。
これからだって、お前が辛い時も困った時も力になりたいと思ってる。」


ヨンアは手の隙間から、涙の溢れる目を覗かせた。


ジョンヒョン「だから何かあったらすぐ言えよ。分かったか?」


涙でグシャグシャになった顔を出し、思いっきり嬉しそうに頷いて笑っている。





誰かとそっくりだ。

すぐ泣くし、簡単な事ですぐ喜ぶ。
嬉しければ顔がグシャグシャだろうがお構いなしで笑う。



ジョンヒョン「レッスン頑張れよ。」

ヨンアの頭をポンポンと触ってから、俺はマネージャーの居る所まで歩いて行った。





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