So Fine 2

□42話
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何処に向かうか分からなくても、家に帰るよりはまだ良かった。


テミンと顔を合わせる事から少しでも逃げたかった。

一緒に暮らしているのだから、そのうち会わないといけない事は分かっていても…。



しばらく知らない街並みを眺めていると、タクシーは飲食店街に止まった。


オニュ「こっち」

ジンギについて行くと、お洒落で落ち着いた雰囲気のお店に着いた。


入ると一番奥の小さなテーブルを案内され、座った。





名前「お洒落なとこだね。」

オニュ「うん、ほんとだね。
友達から教えてもらったんだ。実は僕も初めてで。」

そう言って可愛く笑う。

オニュ「お腹空いたね、何食べる?」


何品か注文すると、私たちはビールで乾杯をした。





美味しい料理を食べながら、他愛のない話しをしている間も、
ジンギのお酒のペースは相変わらず早かった。


名前「ねぇジンギ」

オニュ「程々に…でしょ?」

笑いながら言うジンギに、苦笑いするしかなかった。





それから1時間ほど経った時、ジンギの携帯が鳴った。

ジンギは発信者を確認すると、携帯をポケットに収めた。



何となく想像はつく。。

そろそろみんな宿舎に着いたんだろう。




程なくして、私の携帯も鳴り出した。


おそらく宿舎に居る誰かからだとは思う。

発信者を見るためにポケットから携帯を取り出した瞬間、
テーブルに体を乗りだしたジンギに、携帯を奪われた。


驚く私に、

オニュ「…心配?…家、帰る?」

眉毛を上げて上目遣いで聞いてくる。


名前「…もう少し。顔合わす覚悟が出来たら。。」


覚悟なんてどうやってすればいいか分からない。


名前「はぁ。。あんな事言っちゃったし、避けられたらどうしよう。」

オニュ「…そんなに、好きなの?」

私は頷いた。


オニュ「……いつから?」

名前「分かんない。もしかしたら…会った時からかも。。」

私は手元のお酒を一気に飲み干した。


オニュ「…じゃ、勝ち目は無いっか」

名前「…へ?」


ジンギは優しい目を私に向けた。

オニュ「ヌナのこと…好きだったんだ。」




時間が止まったように、頭が真っ白になった。




オニュ「…驚いた?」


頭が真っ白になり、体が固まってしまって返事もろくに出来ない。


思いも寄らないジンギの言葉に、私はただただ驚くことしか出来なかった。


名前「私…ごめん。…全然気付かなくて。。」

オニュ「だろうね。
ヌナはジョンヒョンの事が好きだと思ってたから、下手に入っていくつもりはなかったんだ。」

名前「……。」

オニュ「…でもヌナは、ずっとテミンが好きだったんだね。」




ジンギの気持ちに気付かなかった上に、
こうやってテミンとの揉め事にまで巻き込んでしまった。

私はジンギにとんでもなく酷いことをしていたんだ。。



オニュ「大丈夫。邪魔するつもりはないよ。
ヌナはテミンが好きで、テミンもヌナの事が好きなんだから。」


名前「ジンギ…。」


オニュ「分かってる。謝らないで。」


困ったように笑うジンギに胸が締め付けられる。


オニュ「でもラッキーだったかな。」

名前「…?」

オニュ「だって、そのお陰でこうやってヌナを独り占めできてるから」


優しく私を見つめていた目が、徐々に悲しそうな鋭い目に変わっていく。


オニュ「だから…
もう少し、独り占めさせて。。」







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