So Fine 2

□44話
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「ただいまー」

日もまだ明るいうちに、最初に宿舎に帰ってきたのはジョンヒョンだった。


名前「おかえりー」


帰って早々、「あちぃあちぃ」と暑がるジョンヒョンは、汗を流しにお風呂に入って行った。




戻ってきた時にはさっぱりとした顔で、
ソファに座る私の隣に腰掛けてきた。


タオルで乱暴に髪を拭いているジョンヒョンと話しているうちに、
今日の夕食は、リベンジでもう一回チヂミを作ろうという話になった。



材料があるか冷蔵庫を見てみると、卵の数が足りなかった。


ジョンヒョン「俺、行ってくるよ」

名前「いいよ。外暑いし私行ってくる。」


ジョンヒョンに材料を切ってもらっている間、
私はひとりスーパーに卵を買いに行くことにした。





家から出て、エレベーターのボタンを押し、上がってくるのを待つ。


15階に着いたエレベーターの扉が開くと、
中には、ジンギとキボムとテミンが立っていた。


名前「あっ。おかえりー。」

オニュ「あ、ヌナだ」


降りてくる3人と入れ替わりにエレベーターに乗り込む。


キー「あれ? ヌナどっか行くの?」

名前「うん、卵買いに行ってくる。」


閉まっていくドアに、じゃあと3人に手を上げる。


その時、突然テミンが飛び出してきたかと思うと、
閉まりかけるドアの隙間から細い体を通し、エレベーターに飛び乗ってきた。




扉は閉まり、エレベーターは下へと下がっていく。


驚きで固まっている私に、向かい合って立つテミンは

「一緒に行く」

と、イタズラな笑顔を向けると、隣に並んだ。

名前「う…うん。」






小さな空間の中で、腕も当たらない微妙な距離から漂ってくる
私の大好きな香り。


テミンと並んでいるだけで、妙に心が跳ねる。




1階に着き、外へ出て歩くのも、
誰かに気付かれたらいけないという心配から、
話しもせずテミンから離れるように、知らない振りをしながら歩いていた。


始めは隣に並んで歩こうとしていたテミンも、距離をとって歩こうと離れる私に気付くと、
次第に一定の距離を保って歩くようになった。





ほんとは隣で並んで一緒に歩きたい。

話しながら笑いながら、一緒に歩きたい。


でも、これが私に許される精一杯の距離。

彼を守るための。。





10分ほど歩くと小さな食料品店がある。

中には店員さんだけで、他に買い物客の姿が無いのを確認すると、
私はテミンに近付いた。

テミンはそんな私に戸惑いながら驚いている。


名前「テミナ…ごめんね。せっかく付いて来てくれたのに。」


テミンの顔に、ホッと安心したような明るさが戻った。

テミン「…僕、嫌われるような事したのかと思ったぁ。
良かったー、名前さん怒ってなくて。」

名前「ハハッ 怒ってないよ。
ほら、誤解されてもいけないし、写真とか撮られても…ね?」

テミン「あぁ…うん。。
…ごめんね、気使わせちゃって。。」


眉毛を下げるテミンに、私は笑顔で顔を横に振る。

名前「ここは他にお客さん居ないから、一緒に行こ?」


笑顔が戻って元気に頷いたテミンと一緒に、店内を歩いていく。




買いに来たのは卵だけなのに、
私たちは、お互い目に入った商品を手にとっては、他愛のない事を話し、笑いながら
ゆっくり進んでいく。



少しの時間でもいい。
なんだかデートみたいで、楽しくて嬉しくて浮かれてしまう。



一緒に歩くテミンの持ったカゴの中には、次々と食べ物が増えていく。

私たちが話した分だけ、私たちの重なった好きな味の数だけ。。



店内を一周してレジに着いた頃には、カゴの中はいっぱいになっていた。

テミン「名前さん入れすぎ〜」

名前「ほとんどテミンのじゃん。」

レジの前で騒ぎながら会計を済ませると、袋は3つにもなっていた。

想像以上の量に、また顔を合わせて笑った。



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