So Fine 2

□50話
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 テミンside




家の門の前に座り込む。

日陰に居ようと、地面から照り返す熱と熱風のような気温が体に纏わりつき、僕の体力をじわじわと奪っていく。




あれから一向にソヨンの出てくる気配もなく、
片手に握った、いつバッテリーが切れてもおかしくない携帯には、振動と共にメンバーの名前が代わる代わる表示される。

申し訳ない気持ちの中、
もう少し…もう少しだけ… と目を逸らす。




そんな時も、頭の中を占める名前の姿が、僕の気力を保ってくれる。


さっきまで僕の腕の中で、可愛く寝息をたてていた名前を思い出すと、
こんな状況でさえも、口元が緩んでしまう。



目の前を不審な目で見ながら通りすぎる人に、
僕は深くかぶったキャップのツバを持ち、静かに顔を下げる。




こんな炎天下の屋外の中、名前を想うだけなのに、体が正常の体温に下がろうとしている気がする。


誰かを想うことが、こうやって生きる力となって僕を奮い立たせる。

どんな状況でも、名前が居るということだけで、幸せで楽しくいられる。

名前の為なら何でも出来る。





どれほど時間が経ったのか、次第に視界はボヤけ、頭が熱くなる。

帽子を軽く浮かせ、額から流れる汗を拭い、携帯の時計を見る。



あぁ… そろそろマネージャーが宿舎に着く頃かな。。



背中のリュックを降ろすと、汗の滲んだ背中を吹き抜ける風に、再び微かな思考を取り戻す。



名前…。
ソヨンと別れたって言ったら、喜んでくれるかな
…それとも怒るのかな。


僕に必要なのは、名前だけなんだって、帰ったら分かってもらえるまできちんと説明しなくちゃ。



…だから、…なんとか、ソヨンに……。




朦朧とする意識の中、時間も体も限界に近づいてきたその時、

背後の門がゆっくりと開く音が聞こえた。




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