So Fine 2
□53話
1ページ/5ページ
オニュside
キー「ねぇ、テミンどうしちゃったの…?」
顔を寄せ集め、小さく隣の2人に尋ねるキボムに、
肩を上げ、同時に頭を傾げるジョンヒョンとミノ。
3人は横から通路に立つ僕を見上げてきた。
気付かない振りをして、反対に目を向ける。
奥の窓際の席には、黒い光を溜めた目で一点を睨むテミンがいる。
鋭利な空気を放つテミンに、近付いたり声を掛ける者はいなかった。
僕は隣に座る。
目をやると、テミンの膝の上には、グシャリと握られた跡が付いた小さな紙袋が、力ない手で持たれていた。
こうなることは想像できた。
ただ、こんな場所で伝えることになるとは…。
テミンを覆う鋭い空気を切るのには少々勇気がいる。
お互い無言のまま離陸を終え、タイミングを図ろうとしているうち、
先に口を開いたのはテミンの方だった。
テミン「…戻って、くるよね」
僕に問いかけながらも、自分自身に言い聞かせているようなテミンの言葉に、胸はギューっと締め付けられ痛む。
きっと、テミンが一番聞きたくない言葉を、
僕は言わなければいけない。
オニュ「テミナ……
ヌナは日本に帰ったんだ。。
僕らのとこには、もう…戻ってこない。」
前を向いたそのままの姿勢で、視線の端でテミンの様子を窺う。
テミン「……そう」
簡単に納得するとは思ってなかった分、
テミンのその返事に、かえって不穏な雰囲気を感じとってしまう。
オニュ「黙っててごめん。」
テミン「……。」
そこからの無言のテミンは、さっきにも増し、誰も寄せ付けさせないオーラを放っていた。
空港から宿舎までの車内は、いつもより静かで、
ジョンヒョン・キボム・ミノが、何も知らなくとも気を使っていることが伝わる。
玄関を入るなり、大きく「ただいまー!」と声を出すキボムを先頭に、僕らはリビングに入っていく。
キー「……?
あれ?ヌーナー、帰ったよー。」
ヌナが使っていた部屋のドアをノックするキボムに、ジョンヒョンが近付く。
ジョンヒョン「名前ー、お土産買ってきたよー」
キー「ヌーナー」
遅れてリビングに入ってきたテミンが、そのまま自分の部屋に入ろうとしたので、僕は咄嗟に呼び止めた。
オニュ「テミン!! ……みんなも、ちょっと話があるんだ。」
振り返り不安そうな顔で僕を見るジョンヒョンとキボム、水を飲んでいたミノも呼び、3人をイスに座らせる。
テミンは僕らから離れたソファに座った。
僕は静かに、ひとつひとつ、
名前が出て行った事実を話す。
.