So Fine 2

□54話
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  オニュside



あっという間に1週間は経ち、
テミンとまともに話しも出来ないまま、撮影は始まった。





宿舎にカメラが来るという日、ジョンヒョンとミノは参加を拒んだ。



リビングは、撮影準備のスタッフに占拠され、
僕は邪魔にならないよう小さくソファに座っていた。


テーブルでは、テミンがプロデューサーの話しを静かに頷きながら聞いている。






テミンにとって、本当にこれで良かったのか、いくら考えたところで
答えが出ることはなかった。








キー「ヒョン…ちょっといい?」

いつの間にか僕の側にやってきていたキボムが、屈んで小さく声をかけてきた。

オニュ「あぁ…うん。」


騒がしいリビングを抜け出し、僕らはキボムの部屋に行く。






オニュ「どうしたの?」

僕はミノのベットに腰掛けた。


キー「ヒョンさ、今回のコンセプト聞いた?」

オニュ「あぁ、……初恋、とか。」




テミンにとって、ヌナは一つの恋に過ぎなかったのだろうか。。


あれから半年が過ぎ、テミンはもうヌナのこと、思い出として整理したのだろうか。




その答えはすぐ、キボムが話してくれた。




みんなが寝静まった深夜に見た、ヌナの部屋でひとり佇むテミンの姿。


テミンは今も、ヌナのことを想い続けてる。


僕らに見せることはなかったテミンの傷は、僕の想像以上にずっと深かった。




キー「…フフッ、なんか笑っちゃうよね。初恋だって。。
そんなの、もうとっくにヌナが持って行っちゃったのに。」


オニュ「テミンにどんなことがあっても、世間のイメージってまだまだ子供なんだ…」

キー「うん…」



自然と僕らの目線は下がっていく。


キー「でもさ、それって本人が一番よく分かってるんだよね。
だからきっと、
…だからあいつは、“テミン”を演じるんだと思うんだ。」



キボムの言いたいことは分かる。

僕たちは番組やプロデューサーの意図を汲み取って、求められる僕らを演じカメラの前に立つ。


きっと今回も、
テミンは“SHINeeのテミン”を演じるんだろう。


ヌナと一緒に過ごした時間も想いも、
寂しさも押し殺して。。




オニュ「テミンのために、僕らもやりますか。」


キボムは優しく笑った。









カメラがまわると、
予想通り、テミンは求められる“テミン”を演じきっていた。




愛する人の前でしか見せないテミンがいるのなら、
その姿は、ヌナしか知らない。


もしかしたら、テミンはそれをヌナに伝えたかったのだろうか。。







数週間後、キボムに無理矢理放送を見せられたミノは、
テレビに映るテミンの姿に何かを感じとった様子で、小さく呟いた。


「…ヌナのこと忘れられないのかな」


終わってキボムに感想を聞かれたミノは、「面白かった」と理解を見せてくれた。





その後、いくら放送が進もうと、
ジョンヒョンだけは頑なに、放送を見ることはなかった。。





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