So Fine 2

□54話
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そんなある日、
メンバー全員、練習室で振り付けの練習していると、
スタッフから僕一人が、室長室に呼ばれた。


ひとり練習を抜け、室長室へ行った。





マネージャーと室長の話では、
どうやら、企画されていた、宿舎でヨンアと共同生活をするという番組が撮れなくなったということだった。


一方的に決定事項を聞かされ、詳しい理由も分からないまま、メンバーにも伝えろと部屋を出される。



胸の中に広がる原因の分からないモヤモヤとしたものを抱え、メンバーのいる練習室に戻る途中、

「ヒョン。」

自動販売機で水を買っているジョンヒョンに声をかけられた。


手に持った水を僕に渡し、もう一本買っている。

オニュ「ありがとう」

ジョンヒョン「どういたしまして。
で、室長何だって?」

オニュ「あぁ……」


そう言えば、ジョンヒョンはヨンアが宿舎に来ること、楽しみにしてたのかな。。



恐る恐る、僕はさっき聞かされた企画の立ち消えをジョンヒョンに伝えた。




ジョンヒョン「そっか…。やっぱりな。」

オニュ「えっ…?」

ジョンヒョンは手に持ったペットボトルに視線を向けて優しく笑っている。


ジョンヒョン「きっとあいつが、…ヨンアが自分で断ったんだ。」



てっきりジョンヒョンとヨンアは僕らの知らないところで会っていて順調なんだとばかり思っていた僕は、
この時、ジョンヒョンでさえ放っとかれるほど、毎日ヨンアがレッスンに打ち込んでいることを初めて聞かされた。



ただ、
ヌナに触発されたヨンアがデビューに向けて頑張っているんだと聞くと、
そこまでの影響を与えたヌナのことが誇らしくて嬉しかった。




ジョンヒョン「でも、この企画が消えたんなら、名前に申し訳ないな……。」





…あぁ、そうか。

確かに、この企画のためにヌナは僕らと一緒に暮らすことになったんだ。

番組が無くなってしまったということは、ヌナと過ごした日々が無駄になるということ…。

ヌナが来た意味さえなくなってしまう。。




室長から聞いたとき、胸に広がった曇りの元が、このとき初めて分かった。


僕らとヌナの唯一の繋がりが、これで完全に切り離されてしまった気分がしたんだ。







ジョンヒョンと練習室に戻った僕は、残りのメンバーにも伝えた。

反応は3人それぞれだった。


キボムは心なしかホッとした表情で、ミノはジョンヒョンを気にしていた。

テミンはただ、静かに聞いていた。






それからの僕らは、日本ツアーに向け、プロモーション活動で日本へ行くことも増えていた。


この頃から、明るく振る舞っていたテミンの表情が曇る瞬間は増えていった。


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