So Fine 2

□55話
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名前さんが日本に帰ってからの1年間、私が名前さんと話しをしたのは、昨日が初めてだった。




ここ数日のテミンは一人で行動することも増え、姿が見えないことなんてよくあることだった。



尋常じゃない仕事の疲労も、精神的な負担も、限界に達していたのは明らかだった。



そんな中、日本に発つ前日、マネージャーからあることを相談された。


名前さんに会って、確認してもらいたいことがあると、マネージャーは言った。





吉田「テミンへの、気持ち…?ですか」

マネ「…マネージャーの俺がこんなことしていいのか分からない。
…いや、ほんとはダメなことくらい分かってる。
でも……、俺はずっとあいつを一番近くで見てきたつもりだ。
まだ小さなテミンを家族から離して預かっておいて、こんなことでテミンを苦しめるのがマネージャーの仕事だって言うんなら、…俺はそんな仕事クソくらえだ。」


きっと彼は、マネージャーとしてよりも、テミンにとっての“家族”である自分の思いに従おうとしているんだ。



吉田「それは、いざという時テミンも名前さんも守る覚悟ができた、っていうことですよね。」

マネージャーはクッと首を上げて見せた。



時にマネージャーとして冷徹に振る舞うほどの彼が、今はなんだか頼もしくて、少し可愛くて
私は嬉しくなった。



マネ「俺が行ってビビらせるより、吉田さんが行った方がいいかと思って。。」

吉田「確かに。こんな図体の大きな男の人が突然家に来れば誰だってビックリしますもんね。
私、名前さんに会ってきます。」



苦い顔で恥ずかしそうに頭をかくマネージャーは、怪我の治療の時に連絡をとっていた名前さんの住所を渡してくれた。







日本に着いたその日、ナビに入れたその住所と、
以前病院から家まで送って行った記憶を辿り、私は名前さんの住む家を探した。



簡単に見つけたそのマンションの前で、会ってくれる確信もないまま、部屋番号を押す。





『…はい』

「名前さん?
突然ごめんなさい。…吉田です。」


沈黙が流れる時間、なんと言っていいか思いつきもせず、ただ心臓がバクバクと音を立てていた。




『……あがってください』


オートロックが開くと、私は足早に中に入った。


名前さんの家の前でもう一度インターホンを鳴らすと、ガチャリと戸惑いを含めたドアがゆっくりと開く。






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