So Fine 2

□55話
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「突然来ちゃってごめんね」


優しく微笑み、顔を振る名前さんは、私を部屋に招き入れてくれた。



1年ぶりに会った名前さんは、少し痩せていた。




どうしても戸惑いを与えてしまう私の登場にも、嫌な顔ひとつせず
会えて嬉しい と言ってくれる名前さんに、少しホッとした。



部屋の中にはSHINeeのCD、SHINeeが出た雑誌、
今までと変わらず、この1年も活動を見ていてくれた跡があった。


キッチンからお茶を持った名前さんが戻ると、
申し訳なさそうに話し始めた。


名前「出来るだけ見に行くようにはしていたんですけど、相変わらずすごい人気で…
私の運もなくて、やっと明日の公演に行けるんです。」


連絡先さえ知っていれば、チケットだって用意できてたのに。。


そんなことを言ったところで、名前さんは自分もファンの一人だからと、受け取らないのは安易に想像できた。



お茶を飲みながら、日本に帰ってきてからの生活を聞き出す。





「バイトで韓国語の講師をやっているんです。
毎日自分でも勉強しなくちゃいけないことがたくさんあって、他に何も出来ないくらいあっという間に1日が終わっちゃうんです。」



私の不躾な質問に答えてくれる名前さんを見ながら、
徐々に、私がここに来たことは名前さんにとって酷なことだったんじゃないかと思い始めていた。



自分の想いに蓋をして、
この1年、必死で前に進もうとしていた名前さんの努力を、私が来たことでふいにしてしまったんじゃないだろうか。




それでも、もし、
名前さんに少しでもテミンへの気持ちが残っているのなら……。




そんなとき、名前さんの口から突然テミンの名前が出た。


名前「…テミン、大丈夫ですか?
…なんか、最近無理してるように見えたから。。」



余計なお世話なのはよく分かってる。


吉田「うん。それがあんまり大丈夫そうじゃないんだよね。
ねぇ、名前さん、明日の公演前、少しでいいんだ、楽屋に来てもらえないかな?」

名前「…いや、それは」


吉田「今さら会いづらいのは、よーーく分かってる。
でも誰も名前さんのこと責めたりしてないし、むしろみんな名前さんに会いたがってる。
…口には出せなくても、一番会いたがってるのはテミンだと思う。
ねぇ、少しでいいから、頑張れの一言だけでもいいからさ、明日来てもらえないかな…?」


名前「……。」


困らせてるのもよく分かってる。


吉田「そしたらテミンも頑張れると思うんだ。」



手帳を取り出し、地図と携帯番号を書き、そのページを破り差し出す。

吉田「ここが関係者入り口ね。15時に来て。待ってるから。」


一方的にそう告げ、困っている名前さんを残し、私は急いで部屋を出た。



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